内容説明
臨床心理学領域の研究法として、事例研究は本邦において長い歴史をもっている。また事例研究は狭い意味での研究としてだけではなく、実践者への教育、訓練の方法としての価値も強調され、その重要性は「自明のもの」であるかのように語られてきた。しかし、この「自明なものとしての事例研究の重要性」は、近年強い批判にさらされている。そのような批判は、臨床心理学以外の学術領域のみならず、臨床心理学の内部からも巻き起こっている。このような流れの中で今、本書を公表する大きな目的は、現時点で再度、臨床における事例研究の意義を問いなおすということにある。(“序文”より抜粋)。
目次
第1部 理論編(臨床事例研究の科学論;「エビデンスに基づく実践」のハイジャックとその救出;質的研究と量的研究;事例研究という質的研究の意義)
第2部 事例編(境界例における自己治療的ドラマ;心身症における三つの悪循環;こころとからだの和解の過程;元型的観点からみた摂食障害;心身症と物語;慢性疼痛―痛みは語りうるのか?;過食嘔吐の大学生へのナラティブ・セラピー風心理療法;女子大学生の夢に見られたdismembered body iamgeについて)
第3部 総合考察編(あらためて事例研究を考える;対談:ナラティブ・ベイスド・メディスン‐医療における「物語と対話」)
著者等紹介
斎藤清二[サイトウセイジ]
1951年新潟県に生まれる。1975年新潟大学医学部卒業。同年、医師免許取得。県立ガンセンター新潟病院、東京女子医科大学消化器病センター、新潟大学医学部附属病院等での臨床研修を経て、1979年富山医科薬科大学医学部第3内科助手。1983年富山医科薬科大学保健管理センター講師(~1988年)、この間に臨床心理学の訓練(教育分析)を受ける。1988年富山医科薬科大学附属病院講師、同年医学博士。1990年臨床心理士資格取得。1993年英国セントメリー病院医科大学消化器内科へ留学。1996年富山医科薬科大学第3内科助教授。2002年富山大学保健管理センター長・教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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しょうゆ
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