世界の領土・境界紛争と国際裁判―民族国家の割拠から世界連邦へ向かって (第2版)

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世界の領土・境界紛争と国際裁判―民族国家の割拠から世界連邦へ向かって (第2版)

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  • サイズ A5判/ページ数 334p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750329789
  • NDC分類 329.23
  • Cコード C0036

出版社内容情報

●内容紹介(版元ドットコムより)
出口の見えない領土問題の解決案として、外交交渉と司法的解決の併用を提言する。世界の代表的な領土・境界紛争に関する国際司法裁判所の判例解説、世界市民法廷・世界連邦の提言を通し、これからの平和的世界の構築を目指す。内容を大幅に改訂した第2版。

●目次(版元ドットコムより)

 はしがき
 凡例と参考文献
 序文に代えて――日ロ民間共同宣言について――

第1部 日本の領土問題の沿革

 はじめに

第1章 日ロ間の領土問題――北方領土をめぐって――
 1 千島の先住民族と黎明期の交流
 2 日露間の初期の領土関係条約
 3 第2次世界大戦直後と北方領土問題
 4 サンフランシスコ対日講和条約
 5 日米安保条約と高まる北方の壁
 6 80年代後半の一条の陽光
 7 国際裁判に注目
 8 アイヌ民族の動き
 9 ゴルバチョフ大統領の訪日と領土問題
 10 新生ロシアと司法的解決案
 11 訪日準備委員会の司法的解決構想
 12 エリツィン訪日後の不透明感
 13 北方領土と諸外国との経済貿易関係
 14 クラスノヤルスク会談と川奈会談
 15 モスクワ会談まえの小渕首相への書簡
 16 アイヌ民族の先住権の要求
 17 司法的解決の賛同者の増加
 18 閉塞感から世界民間法廷設立準備に決起
 19 プーチン大統領と森首相の仕切り直し

第2章 日中間の領土問題――尖閣諸島をめぐって――
 1 紛争の経過の概要
 2 中国側の主張
 3 日本側の主張
 4 中華民国側の主張
 5 その後の経過

第3章 日韓間の領土問題――竹島問題をめぐって――
 1 紛争の経過の概要
 2 当事国の主張
 3 日本の国際司法裁判所付託提案
 4 国際司法裁判所付託提案の韓国による拒否
 5 その後の経過

第2部 領土・境界紛争の解決方法

 はじめに

第4章 外交交渉の無果実の原因
 1 紛争当事者の民族主義的志向
 2 東アジア・ロシアの政治・地政学的風土
 3 国際法治社会の軽視
 4 一方的または双方の独善的判断
 5 互譲・互恵の精神の欠如
 6 一般市民と外交当事者の感覚のずれ
第5章 紛争解決の義務
 1 政治的ゲームに踊る外交交渉
 2 合意達成の義務
 3 問題解決に展望があるか
第6章 司法的解決
 1 錯綜する理論の複雑さ
 2 国際司法裁判所の判決と勧告的意見
 3 国境画定のさいの苦悩とその緩和措置
第7章 司法的解決の友好的選択
 1 より合理的な解決方法
 2 大いなる誤解

第3部 領土・境界紛争の判例研究

第8章 国境問題の判例史
第9章 近代の境界紛争にかんする判例
 マリア・ルース号事件(判決は1875年6月)
 家屋税事件(常設仲裁裁判所、判決は1905年5月)
第10章 紛争の発生と要求の拡大
 1 東部グリーンランドの法的地位事件
 2 メイン湾境界画定事件
第11章 一方または双方の独善的判断――変動期の複雑な灰色の法律関係と大陸棚の判例――
 3 大陸棚境界画定事件
 4 リビア・マルタ大陸棚事件
 5 グリーンランドとヤン・マイエン島間海域境界事件
第12章 司法的立法と国際法の発展
 6 南西アフリカの地位事件
 7 南西アフリカ事件
 8 ナミビア事件
第13章 外交交渉と他の平和的解決手段
 9 アールー山事件
 10 北海大陸棚事件
 11 リビア・チャド領土紛争事件
第14章 係争地からの軍隊の撤退
 12 カッチ事件
 13 マリ・ブルキナファソ国境紛争事件
第15章 外交交渉失敗の場合の国際裁判
 14 ウォルフィッシュ湾地区境界事件
 15 チャコ事件
第16章 外交交渉と国際裁判の同時進行
 16 カタール・バーレーン間海洋境界画定と領土問題事件
 17 カメルーン・ナイジェリア間の陸地と海洋境界事件
第17章 決定的期日
 18 アラスカ国境事件
 19 パルマス島事件
 20 カシキリ/セドゥドゥ島事件
第18章 放棄、錯誤と国境の安定性――「千島列島」との関連で――
 21 北大西洋沿岸漁業事件
 22 ティモール島事件
 23 国境地区の主権にかんする事件
 24 プレア・ビヘア寺院事件
第19章 条約の履行義務――日ソ共同宣言との関連で――
 25 タクナ・アリカ事件
第20章 先占と実効的支配――竹島と尖閣諸島との関連で――
 26 マンキエ・エクレオ諸島事件
 27 リギタン島とシパダン島の主権にかんする事件
第21章 島にかんする判例
 28 グリスバダルナ事件
 29 クレタ島とサモス島の灯台の事件
第22章 判決の履行――不履行はわずか――
 30 エル・チャミザル事件
 31 コロンビア・ベネズエラ国境事件

第4部 世界市民法廷から全人類裁判所へ

第23章 独善と力の支配を地球民が止揚
 1 地球の点から面へ
 2 世界市民万人の簡易提訴
第24章 世界市民法廷への付託事件
 1 ついに北方領土問題が提訴される
 2 カシミール事件と核戦争の危険性
 4 イラク戦争事件
第25章 法治地球社会の発展
 1 全人類裁判所
 2 世界平和連邦府による世界市民法廷の継承

第5部 国連変革から世界連邦と恒久平和へ――領土・その他の諸問題の解決――

第26章 21世紀の要請に合致しない国際連合
 1 国連変革
 2 金子私案
第27章 世界連邦
 1 世界連邦への道
 2 世界連邦運動
 3 日本における世界連邦運動
 4 北海道における世界連邦運動

 むすびに

資料編
 日本側およびロシア側への第2次提案
 イラク情勢にかんする世界市民法廷会長の声明
 世界平和連邦府大綱(案)の要点
 世界連邦実現探究洞爺湖宣言

●本書より(版元ドットコムより)

はしがき

 ゲーテのこの言葉[注:ゲーテ『若きヴェルテルの悩み』、1772年9月4日の日記。書籍では引用]は、きびしく当時の教養人を批判しているが、現代では教養人であろうとなかろうと、みな協力しあえば、地球を持続可能な全人類のための共同体として発展できる可能性がたかまる一方、その逆の場合、さまざまな面で地球と人類は病みつづけるであろう。そうであってはならない。
 本書では、領土問題の解決手段のひとつとして、また一般に紛争解決の方法として、司法的解決方法に相当の注意をはらった。問題が外交交渉で解決できない場合、法的問題については、国連の国際司法裁判所に解決をまかせつつも、同時並行的に外交交渉もおこなうことも提言している。
 わが国、中国、韓国などの東北アジア諸国、それにロシアは、政治・外交的解決を重視し、法的争点の解決を国際裁判にまかせることを好まない。しかし、法的問題を長年にわたって解決できないときにどうするか、ということである。このような場合、まさしく国際裁判、または外交交渉と国際司法裁判所による同時並行的で、競合的な解決方法が、より公正、より確実、より早期の問題打開の突破口となることは、疑問の余地がない。
 政治家や外交官とことなり、日ロ両国民の大多数は、このような合理的な解決方法に賛成するであろう。わたくしは、1997年の夏から、ロシアではウラジオストク、ハバロフスク、モスクワに旅行し、また日本では、札幌、根室、苫小牧、青森県、秋田県などで、いろいろな人びとと話し、ときには講演しながら、アンケート調査をおこない、また函館市や新潟市、それに早稲田大学の多賀秀敏教授からも、受講生にたいするアンケート調査結果がおくられてきた。その結果、おどろくべき数字があらわれた。外交交渉失敗の場合、領土問題を国連の国際司法裁判所へ付託すべきであると回答した者が、1999年11月3日現在では、ロシア人は69%(104名中72名)、日本人は77%(585名中451名)である。
 わたくしを勇気づけるのは、ゲーテのことばだけでなく、賛成した大多数の親愛なる日ロ両国民の声である。中国人や朝鮮半島の人びとも、国際法治社会を樹立すべきであるとの構想に、時代の流れとともに賛同していくであろう。
 現状の国際社会は、法治社会というにはほど遠い。2000年5月から、現在のもろもろの国際裁判所を補完するものとして、筆者の先導によりNGOの世界市民法廷(WOCIT)が活動してきた。国連の常任理事国の拒否権、侵害国が逃れることができるような弱い国際司法裁判所、かかる現行の国際制度が、新世紀の世界市民社会に適合しているはずがない。とりわけ、ここに世界市民法廷設立の存在理由がある。
 世界市民法廷には11の事件が付託されてきた。同法廷は、日本・ロシア・アイヌ民族間の領土紛争事件については、この問題を外交交渉で解決できなければ国際裁判での解決を視野にいれるよう2回(2005年11月14日、2007年1月25日)両国に提案し(資料編、312―315頁)、インド・パキスタン間のカシミール事件では、双方の首脳にたいし、核戦争に訴えないよう3回も(2000年12月5日、2002年1月15日、2002年6月4日)緊急措置を勧告し、イラク戦争にかんしては、同法廷の総会は、法の支配と民族自決権の重要性を強調しつつ(2004年5月26日)、他方、私はWOCIT会長として、イラク戦争では、人類の英知が営々として築いてきた戦争禁止原則の金字塔が軽視されたことを批判し、こんご武力不行使原則への再帰が強く求められていると声明した。(2007年1月25日。資料編、316―320頁)
 国連憲章第33条は、「いかなる紛争でもその継続が国際の平和及び安全の維持を危うくするおそれのあるものについては、その当事者は、まず第1に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又は地域的取極の利用その他当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければならない。」と規定している。武力行使が合法であるのは、自衛権(国連憲章51条)と集団安全保障の場合だけであり、復讐や戦争などは容認されない。ところが、赤裸々な戦争や復讐が21世紀にはいってもおこなわれているのである。
 筆者が2006年8月5日、世界連邦・北海道(荻野忠則代表)に入会したのは自然の成り行きであった。領土、軍事、環境、人口、その他もろもろの国際問題が、より効果的かつ合理的に世界連邦のもとで解決されうる、と筆者は考えている。
 WFM(世界連邦運動、本部はニューヨーク)という国際団体は、かなり影響力のある団体であるが、それ自身の具体的な世界連邦案をもっていないことがわかるや、筆者はその構想を考察する必要を感じ、そのためのNGOの憲章作成と組織化をすすめる一方、世界連邦実現探究世界大会の開催にも奔走した。
 国連は、変革されるべきであるとおもう。2008年11月10日、ニューヨークで、国連変革世界連合(WATUN)が開催された。筆者は、そこでも、また脱稿済みの「世界平和連邦府憲章(案)」でも、領土問題が外交交渉や調停で解決できないばあい、国際裁判で解決する制度を提案した。領土問題だけでない。人間も、国家も、いろいろな対外的行動で独善的であってはならない。法の支配する地球社会の樹立、――これが本書の基底にある精神である。
 近年、国際社会において、じつに多くのNGOが大きな役割を演じている。世界平和連邦府(WPF,仮称)は、2009年1月1日に誕生したばかりの赤子ではあるが、世界連邦と恒久平和の樹立への寄与を目的としており、その成長に期待している。

(…後略…)

内容説明

本書では、領土問題の解決手段のひとつとして、また一般に紛争解決の方法として、司法的解決方法に注意をはらった。問題が外交交渉で解決できない場合、法的問題については、国連の国際司法裁判所に解決をまかせつつも、同時並行的に外交交渉もおこなうことも提言している。

目次

第1部 日本の領土問題の沿革
第2部 領土・境界紛争の解決方法
第3部 領土・境界紛争の判例研究
第4部 世界市民法廷から全人類裁判所へ
第5部 国連変革から世界連邦と恒久平和へ―領土・その他の諸問題の解決
資料編

著者等紹介

金子利喜男[カネコリキオ]
1942年、秋田県生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、1968年から早稲田大学大学院の修士課程と博士課程を通して、入江啓四郎教授や宮崎繁樹教授のもとで国際法を研究。1982年、札幌大学に助教授として赴任し、外国語学部ロシア語学科で国際関係論、日ロ関係論、ロシア語などの科目を担当しつつ、日ロ関係年鑑を出版し、とくに北方領土問題を研究してきた。1995年、同大の教授となってから、領土問題の司法的解決の論調を強め、この問題が20世紀中に解決できないとみるや、2000年の春に世界市民法廷を設立し、その会長に就任する。2007年には、ジュネーヴでの世界連邦運動協会(WFM)の60周年大会で世界連邦府の創設を提案し、2009年それを世界平和連邦府(WPF)として結実。その会長に選出される。世界連邦実現探究世界大会を主催。2007年には、北海道ロシア文化協会の副会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。