出版社内容情報
自然誌というフィールドワークに基づく新たな人類学の理論・方法論を試み、ロシア・カムチャツカ半島のトナカイ遊牧民コリヤークの人々がその生態と世界観を結びつける儀礼を通して、自然と宇宙における生と死の永遠の循環の中で生きていることを明らかにする。
内容説明
先住民文化の現在をテーマ別に掘り下げて、その文化体系の崩壊過程に焦点をあてつつ問題提起をするのが、「むすび」の巻の課題である。
目次
言語
コスモロジー・精神世界
経済
政治・法律
ジェンダー
民族芸能
儀礼
都市・人口
環境・観光
教育・医療
植民地主義
著者等紹介
綾部恒雄[アヤベツネオ]
国連ユネスコ企画専門員、九州大学、筑波大学、京都文教大学教授(副学長)。この間スタンフォード大学、ペンシルベニア大学、マサチューセッツ大学、マッギル大学などの客員教授などを歴任。城西国際大学人文学部客員教授。筑波大学名誉教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
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今日のグローバリゼーション下での少数民族の価値は、どう変容していくのか。たとえば、「環境との相互作用のなかで生み出してきた適応戦略、いわば一種のクッションこそ文化だ」(p.29)とう認識がある。多くの地域の文化事例を取り上げつつ、特に評者が注目したのは、石森氏の「内発的観光開発」という概念である(p.315~)。「地域社会の人々や集団が固有の自然資源や文化資源を持続的に活用することによって、地域主導による自律的な観光のあり方を創出する営み」(p.315)である。多くの地域に普及してほしい考えだろう。2012/05/03