広島修道大学学術選書<br> バングラデシュ民衆社会のムスリム意識の変動―デシュとイスラーム

広島修道大学学術選書
バングラデシュ民衆社会のムスリム意識の変動―デシュとイスラーム

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  • サイズ A5判/ページ数 562p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750322490
  • NDC分類 167
  • Cコード C0036

出版社内容情報

総人口の90%をムスリムが占めるイスラーム国家、バングラデシュ。その事実を正確に認識し、ムスリム大衆の意識・アイデンティティの分析に踏み込むことによって、従来の「ベンガル研究」の枠組みでは把握し得ないバングラデシュの実像に迫る、画期的労作。

まえがき
表記について
序  論
第1部 ムラとマチ
 第1章 「農民社会」・「農民」・農業外労働――ムラの職業構造の事例から
 第2章 チッタゴンのリクシャワラ――「ムラ」と「マチ」とをつなぐもの
 第3章 都市と出身地――チッタゴンのリクシャワラ(2)
 第4章 コロニーの生活――チッタゴンのスラムの人々(1)
 第5章 コロニーにおける短期的人口変動――チッタゴンのスラムの人々(2)
 第6章 「メス」の生活――チッタゴンのスラムの人々(3)
第2部 同郷会と地方史
 第7章 バングラデシュの同郷会――分布についての検討から
 第8章 同郷会組織――事例分析
 第9章 地方史誌の分析――人々の「デシュ」意識を中心に
第3部 ムスリム意識 歴史と現代
 第10章 バングラデシュ・ムスリムのアイデンティティ――歴史的素描と再検討
 第11章 ムスリムである/ムスリムになる――アイデンティティの表出・確認・(再)創造
第4部 国家へ 地域性を超えて
 第12章 フォトワバジ――バングラデシュ・ムスリム社会の新現象小考
 第13章 フォトワバジ・NGO・イスラーム――グローバル化の中のバングラデシュ<

まえがき
 研究者ではない一般の方に「何の研究をしているんですか?」と尋ねられ、「バングラデシュ社会を研究しています」と答えると、「ふーん」と分かったような分からないような曖昧な表情をされることがしばしばである。時には「ああ、アフリカですか」との受け答えをされて、愕然とすることもある。嘘のように聞こえるかもしれないが、こうした応答をされた経験は一度や二度ではないのである。もっとも、最近ではそういう反応が返ってくるのにも慣れ、こちらにも以前ほどの驚きはないが。そこで、「インドとビルマ(ミャンマー)の間にある国ですよ。以前は東パキスタンと呼ばれていました」と説明を加えると、年配の方はなるほど、ようやく分かった、とばかりうなずくのだが、若い世代にはこれもどこまで通じたのか怪しいばかりである。悲しいことだがこれが現在の日本におけるバングラデシュ理解であり、バングラデシュの位置付けなのである。事実は事実として受け止めなければならないだろう。
 本書は、そのバングラデシュの、しかもムスリムについての研究である。バングラデシュのことを知っている方(先の一般の反応からいえば、例外的な少数の人)でも、バングラデシュはムスリめたものである。それがどこまで成功しているか、また、どのように受け止められるのか、それは読者の方々の判断に委ねるしかない。ただ少なくとも、バングラデシュについて知ろうとする人々が本書を手に取ってくれて、その結果、同国とそこに暮らす人々について理解する一助になるのであれば、本書の目的は達せられたことになる。

2005年6月20日
高田 峰夫

内容説明

バングラデシュはムスリム人口が90%を超える国であり、イスラームを国教としている。本書は、そのバングラデシュの、特にムスリムについての研究である。

目次

第1部 ムラとマチ(「農民社会」・「農民」・農業外労働―ムラの職業構造の事例から;チッタゴンのリクシャワラ―「ムラ」と「マチ」とをつなぐもの ほか)
第2部 同郷会と地方史(バングラデシュの同郷会―分布についての検討から;同郷会組織―事例分析 ほか)
第3部 ムスリム意識 歴史と現代(バングラデシュ・ムスリムのアイデンティティ―歴史的素描と再検討;ムスリムである/ムスリムになる―アイデンティティの表出・確認・(再)創造)
第4部 国家へ 地域性を超えて(フォトワバジ―バングラデシュ・ムスリム社会の新現象小考;フォトワバジ・NGO・イスラーム―グローバル化の中のバングラデシュ ほか)

著者等紹介

高田峰夫[タカダミネオ]
1957年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。広島修道大学人文学部教授。地域研究・社会学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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