朝鮮半島の食料システム―南の飽食、北の飢餓

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朝鮮半島の食料システム―南の飽食、北の飢餓

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  • サイズ A5判/ページ数 429p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750321547
  • NDC分類 611.3
  • Cコード C0036

出版社内容情報

豊富なデータを解析し、朝鮮半島の食料事情を消費から生産・流通、人口、都市と農村など多角的な視点から読み解く。経済システムとしての食料事情のみならず、文化的・歴史的背景をも視野に入れ、韓国の飽食、北朝鮮の飢餓の構造的な原因にも肉薄する意欲作。

第1部 消費編
第1章 栄養と食料の消費
1.栄養の消費
(1)栄養の供給と摂取/(2)供給栄養の趨勢/(3)栄養の価格
2.食料の消費
(1)食料消費の趨勢/(2)食生活におけるメニュー/(3)合理化メニューの計測
3.食文化の形成
(1)戦後の食生活の特徴/(2)主成分分析による食生活の特徴
第2章 家計に見る食料消費
1.都市と農家の家計構造
(1)ローレンツ曲線とジニ係数による家計の格差/(2)家計支出の概観
2.食料消費の変化、経済的要因と非経済的要因
(1)消費の経済的要因と非経済的要因/(2)経済的要因/(3)非経済的要因/(4)非経済的要因を考慮した需要関数による2国間の食料需要の比較
第2部 生産編
第3章 食料システムと封建制度の影響
1.市場経済における食料システム
2.外国人から見た朝鮮の農業、林業、商業、工業の実態
(1)農林業/(2)商工業
3.李朝期と江戸時代との比較
(1)日本の場合/(2)朝鮮の場合
4.農村振興運動
5.セマウル運動
6.韓国の食料システムの形成
(1)農業・農村/(2)食品工業/(3)食品流通業
第4章 食料産業(飲食店)
(1)外食産業の沿革/(2)外食産業の経済構造/(3)産業連関分析
第7章 農業と農村
1.農業の特性
(1)固定資本/(2)生産の季節性/(3)生化学的反応/(4)農業の経済組織
2.農業政策
(1)米穀政策の変遷/(2)米需給の変遷/(3)その他の作物
3.農業就業人口と農家および農地
(1)農業就業人口/(2)農家戸数/(3)農地
4.農村社会の諸問題
(1)高齢化/(2)農業所得と農家所得/(3)日本との比較
5.産業連関分析
第3部 朝鮮半島の2つの食料危機――飽食と飢餓
第8章 朝鮮半島の人口と食料
1.朝鮮半島の飢餓史
(1)人口と食料/(2)李朝の人口と食料/(3)植民地時代
2.韓国の人口
(1)人口の推移/(2)人口動態と人口政策/(3)人口分布
3.韓国の食料
(1)食料不足時代(1980年代まで)/(2)韓国の食料自給率の推移/(3)韓国の飽食問題
第9章 朝鮮半島の「食べ残しの文化」と韓国の飽食
1.朝鮮半島の食文化の特徴
(1)風土、農法、食生活/(2)外国人の見た朝鮮の食生活/(3)朝鮮の「食べ残しの文化」
2.韓国の食

はじめに
 韓国との関わりを最初にもったのは、日本、台湾、韓国という東アジア3国の食料消費の比較を研究した時だから、1994年である。台北の台湾農業委員会とともに、ソウルの韓国農村経済研究院に出向き、それぞれ『食料(品)需給表』を入手した。その後1997年のまさに通貨危機のさなかにソウル大学校、また2002年には韓国農村経済研究院に短期留学して「食料システム」に関する統計を中心に資料を収集した。しかし、統計資料の分析を進めるうちに、また2度の滞在で痛感したのだが、隣国でありながら韓国は日本とだいぶ様子が違うということであった。食料の消費や生産は、風土や社会構造、文化などが影響するから、この違いを解く鍵は歴史にある。歴史といっても、植民地時代35年間より、500年間続いた李朝時代が重要であることは、植民地時代の日本人や李朝末期に朝鮮を旅行したイギリス人やロシア人の記述からわかってきた。つまり、今日の韓国の食料システムは、李朝時代にその基礎が作られたといっても過言ではないかもしれない。
 「食料システム」とは食料の生産から消費の最終段階までの一連の流れのことをいう。つまり、原料段階である「農業」「水産業」、加いく可能性がある。それだけに、調理産業という分野を特定することが難しくなってきている。家計にしても、調理食品を内食(家庭内食事)にするか、外食(家庭外食事)にするかはまったく相対的な問題で、消費者のライフスタイルがどこまで変化していくかということに依存しており、中食という概念も曖昧になってくる。さらに、家計は完成した調理食品ばかりでなく、未完成の調理食品を利用する場合もあり、一応完成された調理食品にしても、それにさらに、電子レンジで温めるなど、手を加えて消費する場合もあり、調理食品という概念自体も曖昧になってくる。
 第2の問題点は、食料システムが最終消費段階である家計では完結しないということである。消費された食料は原則的には排泄を含む「廃棄物」となり、理論的にはそれが主として肥料や堆肥となり、原料段階へ再投入されなくてはならない。もちろん廃棄物の用途はこればかりでなく、技術水準いかんによってはその他の使い道が考えられるであろう。この「循環」によって食料システムははじめて完結するのであって、従来の近代化がこの循環をシステムに取り入れていなかったところに「環境問題」を発生させる原因があったといえる。しかも、こ棄物事情がある。
 本書は3部からなっている。第1部は「食料の消費編」、第2部は「食料の生産編」、第3部は「朝鮮半島2つの食料危機――南の飽食、北の飢餓」としているが、可能な限り、日本と比較検討している。
 第1部の第1章は、『食品需給表』による栄養と消費量の変化を考察しているが、線型計画法や主成分分析といった分析手法を用いている。第2章は、『都市家計年報』と『農家経済調査』という韓国の家計調査によって食料支出の分析を行っているが、嗜好変化を考慮した需要関数を特定し、需要の所得弾性値や価格弾性値を計測している。
 第2部は第3章から第7章までである。第3章は「封建制度」の食料システムへの影響を歴史的に考えたもので、特に李朝時代と日本の江戸時代の状況を比較しながら、今日の食料システムの原点を探っている。第4章は「産業連関表」を「食料・農業を中心とした産業連関表」に組み換えて、産業連関分析をおこなっている。食料システムの考え方は、まさに産業連関表で表現されているといってよい。第5章は食品工業、第6章は食品流通業と外食産業、第7章は農業に関して述べているが、第3章からの歴史的流れを汲んでいるものである。なお、

内容説明

豊富なデータを解析し、朝鮮半島の食料事情を消費から生産・流通、人口、都市と農村など多角的な視点から読み解く。経済システムとしての食料事情のみならず、「食べ残しの文化」など文化的・歴史的背景をも視野に入れ、韓国の飽食、北朝鮮の飢餓の構造的原因にも肉薄する意欲作。

目次

第1部 消費編(栄養と食料の消費;家計に見る食料消費)
第2部 生産編(食料システムと封建制度の影響;食料システムと産業連関表;食品工業;食品流通業・外食産業;農業と農村)
第3部 朝鮮半島の2つの食料危機―飽食と飢餓(朝鮮半島の人口と食料;朝鮮半島の「食べ残しの文化」と韓国の飽食;北朝鮮の飢餓)

著者等紹介

三浦洋子[ミウラヨウコ]
現職:千葉経済大学経済学部助教授。中央大学文学部、千葉大学法経学部を卒業後、千葉大学大学院社会科学研究科修士課程修了、同大学院自然科学研究科博士課程単位取得退学
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