アジアを社会科学するシリーズ
アジア・バロメーター 都市部の価値観と生活スタイル―アジア世論調査(2003)の分析と資料

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  • サイズ B5判/ページ数 506p/高さ 27cm
  • 商品コード 9784750321516
  • NDC分類 352
  • Cコード C0336

出版社内容情報

東・東南・南・中央アジア10ケ国を対象に、人々の日常・家族・職場・政治的制度・経済市場との関係性に焦点をあて、共通の調査フレームワーク、調査方法で膨大なデータを収集。発展・民主化・地域化の可能性を考察するアジア最大の比較世論調査・分析集。

序文
謝辞
ファクト・シート
序章 アジア・バロメーター:目的・射程・効果(猪口 孝)
第1部 アジア都市部の価値観と生活スタイル:実証的観察
第1章 アジアにおける社会資本と家庭の幸福度を測る:問題と論点の紹介(猪口 孝 ティムール・ダダバエフ)
域内ケーススタディ:東アジア
第2章 日本:近代化社会の家庭、価値観、関心(ティムール・ダダバエフ)
第3章 中国:高まる期待、漸進的改革、そして良いガバナンス(郭 定平)
第4章 韓国:公的制度に対する市民の信頼(シン・ミュンスン)
域内ケーススタディ:東南アジア
第5章 タイ:民主主義における繁栄の優位(チャイワット・カムチュー アーロン・スターン)
第6章 マレーシア:多文化民主社会のミドルクラスという自意識(ヨハン・サラバナムッチュ)
第7章 ベトナム:発展途上にあるグローバル化の下での社会生活(園田 茂人)
第8章 ミャンマー:現代の生活状況(ミャット・テイン)
域内ケーススタディ:南アジア
第9章 インド:都市部のミドルクラス(サンジャイ・クマール)
第10章 スリランカ:都市生活と生活条件(シリマル・アベイラトネ)


序文
 本書はアジア10カ国――ウズベキスタン、インド、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、中国、韓国および日本――の公衆の信条および願望への貴重な洞察を提供するものである。それは日本での知見を広い比較考察的な展望で解釈することを可能にすることによって、調査研究が比較的進んでいる日本のような社会に新しい光を当て、また、これまでの実証的研究ではほぼ完全に無視されてきたウズベキスタンのような非常に異なる社会について包括的な情報を提供する。
 こうした多国間的なアプローチは、自国の直面している問題に対し、他国民がいかに対処しているかを知ることを通じて出現しうる新しいタイプの洞察をもたらす。それは同時に、11人のアジアの一流の社会科学者による論文を通して、ある社会に属する研究者がそれぞれ自らの国で見いだしたことをいかに解釈しているかも示してくれる。その研究テーマは、アジアの文化的背景の中での社会資本(ソーシャルキャピタル)の分析から、中国の改革に関連する問題、タイの繁栄、マレーシアの多文化主義、ウズベキスタンのポスト・コミュニズム、スリランカの生活条件、ベトナムの社会生活、日本の家族観、インドで増えつのである。
 10カ国の学者が一堂に会したことは、将来大きな意味をもつ第1歩といえよう。すべてが順調にいけば、これは急速に変わりつつある世界のこの地域で起こっている社会的かつ経済的な変容を理解するために協力しあう、アジアの社会科学者による国境を越えたネットワーク構築の土台になるかもしれない。
 〈アジア・バロメーター〉プロジェクトは、10カ国の公衆の世界観のあらましを外部の人に示すとともに、アジアの社会科学者や政策決定者が自らの社会をよりよく理解する助けとなるであろう。

ロナルド・イングルハート
ミシガン大学教授(政治学)
世界価値観調査協会会長

目次

第1部 アジア都市部の価値観と生活スタイル:実証的観察(アジアにおける社会資本と家庭の幸福度を測る:問題と論点の紹介;日本:近代化社会の家庭、価値観、関心;中国:高まる期待、漸進的改革、そして良いガバナンス;韓国:公的制度に対する市民の信頼 ほか)
第2部 “アジア・バロメーター”ソースブック(フィールド・レポート;質問票;図集;リンク集)

著者等紹介

猪口孝[イノグチタカシ]
中央大学法学部教授:東京大学東洋文化研究所前教授(マサチューセッツ工科大学博士号取得):汎アジア比較研究および日本政治専門。アジアにおける民主主義、グローバル化、および人権尊重に関する論文・著書多数

バサネズ,ミゲル[バサネズ,ミゲル][Bas´anez,Miguel]
メキシコ自治工科大学(ITAM)政治学教授(ロンドン大学政治経済学院博士号取得):ミシガン大学フルブライト客員研究員。グローバル・クォリティ・リサーチ社(米国・プリンストン市)社長。世界世論調査学会(WAPOR)前会長

田中明彦[タナカアキヒコ]
東京大学東洋文化研究所所長(マサチューセッツ工科大学博士号取得):国際関係および日本の外交政策が専門。著書・論文多数

ダダバエフ,ティムール[ダダバエフ,ティムール][Dadabaev,Timur]
東京大学東洋文化研究所助教授(立命館大学博士号取得):中央アジアにおける政治、平和研究および民主化可能性を専門とする。ウズベキスタンの内外事情の分析に加え、タジキスタンおよびアフガニスタンなど紛争国を含む中央アジアの実地調査において経験豊富。中央アジアの国際関係に関する論文多数
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