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明石ライブラリー
コリアン・ディアスポラ―在日朝鮮人とアイデンティティ

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  • サイズ B6判/ページ数 219p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750320694
  • NDC分類 316.81
  • Cコード C0336

出版社内容情報

在日朝鮮人として日本で育ち、今は米国の大学で教える著者が、異郷・日本での定着が長期化する在日コリアンのディアスポラ状況をたしかなフィールド・ワークと当事者としての共感から描き出す新しい在日朝鮮人論。

序 日本という異郷
第1章 関東大震災と朝鮮人大虐殺(1923)――日本の近代国家主権に関する考察
第2章 刻印された(男たちの)身体、声なき(女たちの)ことば――在日朝鮮人の「植民地過去」を考える
第3章 言語とアイデンティティ――朝鮮総聯系の女性たち
第4章 ディアスポラとその向こう――日本に「ふるさと」はない
第5章 ディアスポラ再論――生活史に見るイデオロギー、主体性、そして心の問題
あとがき
索引

"序 日本という異郷
 第1章「関東大震災と朝鮮人大虐殺」は今回収められた論文の中でもっとも最近に書かれたものである。これは文化人類学調査にもとづいた論文ではなく、むしろ史実を民族誌を読むようにひもといてみたいと考えて書いた論文である。イタリア人哲学者・ジョルジョ・アガンベンと民俗学者・折口信夫の思想からヒントを得て、一九二三年の関東大震災とその直後の朝鮮人虐殺を近代日本の国民主体出現の原理と合わせて考えてみた。既存の関東大震災研究にみられる責任追及、うわさの出所の究明などの傾向から一歩距離をおいて、より根元的な次元での文化的ロジックを見すえてみたいと考えて、この研究をはじめた。史料の実証的検証が未だ初期段階にあることから今の時点では史料の再解釈にとどまっていることをお断りしておきたい。
 第2章「刻印された(男たちの)身体、声なき(女たちの)ことば」と第3章「言語とアイデンティティ」は、一九九〇年代にケンブリッジ大学社会人類学博士課程在籍中におこなった調査にもとづいた拙著“North Koreans in Japan: Language, Ideology, and Identity”(Westview, 1997)に収めることのできなかった在日朝鮮人一世女性たちにかんするうな現象を扱うとき、いかにして個人の主体性を肯定的にとらえながらも同時に組織内言説のかもし出す権力構造を明らかにすることができるのかという課題に取り組んでみた。
 第4章「ディアスポラとその向こう」、第5章「ディアスポラ再論」は比較的最近まで行なわれている長期の調査をもとにして、日本という異郷におきざりにされた在日朝鮮人の生きざまを民族誌的にまとめてみた。両章とも在日朝鮮人にとって故国(くに)・故郷(ふるさと)がどうやって喪失させられ、またそれらがいかにして再建不可能な状態にあるのかということについて考えてみた。第2・3章、とくに第3章では在日朝鮮人一世女性たちの生活世界の一端を掘り下げているのに対し、第4・5章では、在日朝鮮人一世男性の老いの問題をとりあげていることから、ジェンダー差によるディアスポラ経験の特殊性を確認するうえでも参考になればと考えている。(抜粋)"

目次

序 日本という異郷
第1章 関東大震災と朝鮮人大虐殺(1923)―日本の近代国家主権に関する考察
第2章 刻印された(男たちの)身体、声なき(女たちの)ことば―在日朝鮮人の「植民地過去」を考える
第3章 言語とアイデンティティ―朝鮮総聯系の女性たち
第4章 ディアスポラとその向こう―日本に「ふるさと」はない
第5章 ディアスポラ再論―生活史にみるイデオロギー、主体性、そして心の問題

著者等紹介

ソニアリャン[ソニアリャン]
本名・梁順。1960年愛知県生まれ。1982年、朝鮮大学外国語学部(フランス語)卒業。1988年、ヨーク大学政治学修士。1991年、ケンブリッジ大学社会人類学修士。米国ジョンズ・ホプキンス大学準教授

中西恭子[ナカニシキョウコ]
和歌山県生まれ。一橋大学卒業後、出版社勤務。東京外国語大学大学院で修士を取得した後、現在ソウル大学に留学。同大学院国語国文学科博士課程修了。韓国東国大学校専任講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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パヤパヤ

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名著。元々英語で書かれた著者の論文や記事を編纂したもの。この著者の本は高価で買い集めることが出来ず、(図書館でも閉架書庫に入っているだけなので)日本語訳を見つけた際はホクホクですかさず購入。この著者が日本で全く知られていないのは合衆国滞在者だからか、或いは民族問題でタブーなのか。いまはようやくもっと一般的に語られるようになった在日朝鮮人の社会について、その社会内の言語と言説の研究をしてその構造を見事考察した先駆け的研究者、よって、日本で紹介されていないのはいかにも残念でならない。2010/02/06

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