出版社内容情報
成長・貧困・不平等に対するグローバル化の影響を、開発途上諸国(アフリカ、ラテンアメリカ、東南アジア)からの利害関係者、政策立案者、および専門家による政策対話集会を通じて明らかにするとともに、グローバル化がもたらすさまざまな課題に対して最も公平な解決策を探る。
まえがき
謝 辞
はじめに
第1部 序論および理論的位置付け
序論(リチャード・コール)
グローバル化と内生的な教育的対応――経済の主要な伝送路――(フランソワ・ブルギニョン、チエリ・ヴェルディエ)
第2部 地域報告: アフリカ
グローバル化、経済成長、所得不平等――アフリカの経験――(スティーヴ・カイッジ=ムゲルワ)
サハラ以南のアフリカにおけるグローバル化、貧困、不平等の政治経済学(イヴォンヌ・M・チカタ)
サハラ以南のアフリカ地域分科会報告(ダニエル・コーエン)
第3部 地域報告: ラテンアメリカ
構造改革の時代におけるラテンアメリカでの分配と成長――グローバル化の影響――(サミュエル・モーリー)
不平等は何に起因するか――ラテンアメリカのための構想と示唆――(ジェイムズ・A・ロビンソン)
ラテンアメリカ地域分科会報告(バーバラ・ストーリングズ)
第4部 地域報告: 東アジア
東南アジアにおけるグローバル化の社会的影響(マリ・パンゲスツ)
東南アジアにおけるグローバル化、自由化、貧困、所得不平等(K・S・ジョモ)
東アジア地域分科会報告(S・マンソ
はじめに
(前略)
本書は、2000年11月30日から12月1日にかけてOECD開発センターにより開催された政策対話集会から得られた資料と討議に基づいている。本書はまた、ウルグアイ・ラウンド(Uruguay Round)による改革の開発途上国に対する影響や、開発途上国における技能格差に関する公開性の拡大の影響についての独創的な研究など、グローバル化のさまざまな要素に関してや、不平等と貧困に関して、開発センターが取り組んできた長期にわたる一連の研究・政策対話の成果でもある。最近の研究では、開発途上諸国のさまざまな地域における資本勘定と金融市場の自由化の影響、ことに、各種の形式で流入が増加しつつある海外資本の役割に焦点が当てられている。グローバル化と貧困に関する研究は、3月17日に開発センターの新しい運営委員会において技術的なレベルで討議された「グローバル化とガバナンス」に関する開発センターの2001年から2002年にかけての研究計画に引き継がれた。これには、技能の獲得を加速することや民主政治を強化することにより、開発途上国や新興成長市場における「総グローバル化」(inclusive globalisation)の過程を強化する方法の研究などが含まれる。
本書に会基盤その他の生産資源を貧困層が利用する便に従来から存在していた不平等の影響を拡大した。またグローバル化は、国内のガバナンスや諸制度における弱点の影響を拡大した。
この分析は、開発政策に携わるあらゆる人々や、各種の国際機関、OECD加盟国政府、および大部分の開発途上国にとって有益な教訓をいくつか生み出した。グローバル化が貧困層を支援するものであるためには、生産財や生産資源の分配、あるいは利用権の平等化を促進し、グローバル化にともなう競争の増加に首尾よく対処する能力を弱者層に育成する政策と結びつける必要がある。教育や技能訓練、労働市場政策を通じて人的資本の分配の平等化を促進することはことに重要である。国の内外における自由化の速度と順序は、経済を変革する制度的能力に基づいて、個々の国の個別の状況に合わせて調整されなければならない。また、制度やガバナンスが力不足の場合には、グローバル化による利益が社会の弱者層や低開発国の利益ともなりうるように強化されなければならない。一方、OECDの政策にも変化は必要である。すなわち、開発途上諸国は自国の輸出のための市場参入権の拡大を、特に一次産品や労働集約的に製造された商品に対する輸
目次
第1部 序論および理論的位置付け
第2部 地域報告:アフリカ
第3部 地域報告:ラテンアメリカ
第4部 地域報告:東アジア
第5部 結びの辞
付録 開発途上諸国における貧困と所得不平等―グローバル化の影響に関する政策対話集会
著者等紹介
及川裕二[オイカワユウジ]
1952年、千葉市生まれ。国学院大学文学部哲学科卒、著述・翻訳業
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