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イランを知るための65章

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  • サイズ B6判/ページ数 392p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750319803
  • NDC分類 302.263
  • Cコード C0336

出版社内容情報

イスラーム諸国のなかでもひときわ異彩を放つ存在であるイラン。イスラーム以前から以後、今日、そして未来へとつながる「イラン」のオリジナリティとは何か? 日本における新進気鋭のイラン研究者たちが、平易かつ明快にその問いに答える入門書。

はじめに
『イランを知るための65章』凡例
 1 文学・言語
第1章 華麗な恋文――ペルシア文学
第2章 文字の帝国、語りのレジスタンス――『シャー・ナーメ(王書)』
第3章 ペルセポリスの記憶――アレクサンドロス伝説
第4章 葦笛の響き、象徴の舞い――ペルシア神秘主義文学
第5章 俳句との邂逅――現代イラン詩抄
第6章 二〇世紀を駆け抜けた女性詩人たち――パルヴィーンとフォルーグ
第7章 時代の苦悩と生の悲劇的感情――作家サーデグ・ヘダーヤトの肖像
第8章 語り継がれるイランの伝統思想――イラン民話学の現状
第9章 イランのシンデレラ物語――シンデレラの比較民話学
第10章 ダレイオスのことばとシャープールのことば――イラン語派
第11章 ペルシア語はどこまで通じるか?――イランことば探訪(1)
第12章 お国ことばさまざま――イランことば探訪(2)
 2 芸術
第13章 王権神授と虚偽の造形――イランの古代美術
第14章 イラン美の源流――イスラーム時代のイラン絵画(一四世紀まで)
第15章 華やぐティムール朝宮廷文化――王族による写本芸術の保護
第16章 芸術の爛熟――サファヴィー朝の絵イランが生んだ宗教――現代に生きるゾロアスター教
第32章 イヌ派かネコ派か?――ゾロアスター教とイスラーム
 4 歴史
第33章 イラン考古学最前線――旧石器時代からサーサーン朝ペルシアまで
第34章 正倉院のガラスを求めて――ギーラーン地方の考古学
第35章 イスラーム以前の輝かしい時代への賛歌――『ノウルーズ・ナーメ』
第36章 多民族共生の歴史と「国史」の齟齬――イラン史を求めて
第37章 シーア派国家への道――サファヴィー朝の成立と繁栄
第38章 屈辱と懐旧と――ガージャール朝
第39章 歴史の一貫性――イランの近代史と宗教
第40章 現代に蘇る石油国有化運動――ナショナリズムと自由
 5 地理・風土・民族
第41章 ノウルーズ文化圏――イランの地理・風土・民族
第42章 ザーグロスの南、ファールスの春――イラン南部の風景
第43章 携帯電話がほしい!――ガシュガーイー遊牧民
第44章 クルディスターンの「分割」――クルド人と国境
第45章 近くて遠い隣人――イラン人とアフガン人
第46章 イラン系文化とトルコ系文化の十字路――中央アジア
第47章 イランとカフカス、日本を結ぶミッシングリング―と住宅――住居環境
第61章 ゆるやかな男女別と男女同席――テヘラン乗り物事情
第62章 生者と死者を結ぶコミュニケーション――墓参りと夢
第63章 集いの楽しみ――半世紀前のテヘランの娯楽から
 8 日本とイラン
第64章 海を渡った恋の詩――文化交流
第65章 蜃気楼の彼方に――イランへの眼差し
【コラム1】 ソシュールの言語ゲーム――「タルハンドとガウの物語」
【コラム2】 イランの地震によせて――二〇〇三年一二月の大地震
【コラム3】 グルジア村の「発見」――ラド・アグニアシュヴィリの旅
【コラム4】 二つの顔のイラン――エバーディー氏のノーベル平和賞受賞が語るもの
【コラム5】 情熱の向かうところ――イラン・スポーツ事情
【コラム6】 テヘラン・スーパー銭湯事情――筆者の体験から
【コラム7】 似て非なる食卓の風景――イランの食文化
【コラム8】 日本点描――イラン人研究者の日本観
【コラム9】 イランの空に日本語の響き――テヘラン大学の日本語教育
『イランを知るための65章』関連略年表
イランを知るためのブックガイド
あとがき

あとがき
 ある地域なり国なりを深く理解しようとするならば、新聞やテレビなどのメディアを通じて伝えられる断片的な情報に徒に目を奪われるのではなく、その背後に広がる歴史や経済・政治・文化をきちんと見つめ、理解しなければならない。これはあらためて言うまでもない自明の理なのだが、対象がイランともなると、「テロ支援国家」「核開発疑惑」「悪の枢軸」といった声高な言葉に気を取られ、ややもするとこの理の自明性が意識の後方に追いやられてしまうことがあるように思う。これは、イランと深く関わった歴史を持たず、結果的に偏った眼差ししか向けてこなかった私たち日本人の、歴史的・文化的事情からくる無関心と知識の欠落に大いに拠っているだろう。仮に情報を得ようと思い立っても、気軽に手に取って読める概説書が決して多くは見当たらないという事情もあった。
 私たちはこのような点を踏まえ、多くの方々にまずはイランに関心を持っていただき、その魅力と問題を広く知っていただきたいという願いを込めて、本書の編集にあたってきた。具体的には、現代イランが政治的・社会的に抱えている種々の課題や現状はもとより、文化的深みを少しでも感じ取っていただくために、古代る専門家が一致協力した結果、可能な範囲内では極めてバラエティーに富んだ、他に類を見ないイラン概説書を世に出せたことは間違いないだろう。本書の多様な切り口を通じ、一人でも多くの読者にイランへの関心の扉を開いて頂ければこの上ない喜びである。(後略)

目次

1 文学・言語
2 芸術
3 宗教
4 歴史
5 地理・風土・民族
6 政治・経済・社会
7 生活文化
8 日本とイラン

著者等紹介

岡田恵美子[オカダエミコ]
1932年生まれ。テヘラン大学文学部博士課程修了、文学博士。東京外国語大学、中央大学教授を経て、日本イラン文化交流協会会長。ペルシア文学、比較文化論専攻

北原圭一[キタハラケイイチ]
東京外国語大学外国語学部ペルシア語学科を卒業後、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(比較文学比較文化)修士課程及び博士課程で比較文化学の視座から中東文化を学ぶ。中央大学総合政策学部兼任講師。比較文学比較文化、中東文化研究専攻

鈴木珠里[スズキシュリ]
1968年生まれ。東京外国語大学地域文化研究科博士前期課程修了。文学修士。イラン現代詩を研究・翻訳するかたわら、中央大学総合政策学部・大東文化大学国際関係学部の非常勤講師としてペルシア語を教える。定期的にペルシア語教室「ヘディーエ」を開催
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

デューク

3
イラン旅の前に予習。実は女性の方が政治的な存在感が多かったり、女子の就学率が非常に高かったり。このシリーズは少々情報が古いことも多いが、その国の内情までしっかり踏み込んでいるので、旅前の予習に最適。2014/05/23

可兒

1
まあ一応2016/05/02

Changsoo Lee

0
1分間勉強法/記憶法 タイムマジック忠実に3回通読。 ペルシャ なんとなくかっこいい。 キアロスタミ。 そらで思い出せるのはここまで。 ぱらみをしておもいだせるのは、ソロアスターがわりとカルト、クルアーン表記(コーランのこと)、犬と猫(中村一義関係ない)、クルディスターン(この表記で、クルド人、なるほど!)バラ水、発見クルド人、バザール商法。2015/05/17

おとや

0
イランの文化、歴史から現代社会まで、幅広く網羅的に記載された入門書。現代社会については、ハータミー政権までしか記されていない(出版年から考えると当然)ので、その後のアフマディーネジャード政権による保守派の巻き返しから、現在のロウハーニー政権に関する話題はない。それでも、ペルシア、イランを理解するための出発点としてはかなり良書。2015/03/10

ころころ

0
量の割にサラサラ読めました~。 このシリーズ続けて読もう!!2014/02/22

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