焼肉の文化史

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  • サイズ B6判/ページ数 389p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750319568
  • NDC分類 383.8
  • Cコード C0036

出版社内容情報

朝鮮半島をはじめ、東アジアに広がる焼肉の文化を歴史、社会現象など多方面から取り上げる。「ホルモン=放るもん」説などこれまで根拠もなく受け入れられていた俗説にも実証的に果敢に挑んだ力作。

はじめに
1 焼肉って何だ
(1)焼肉という言葉/(2)焼肉という料理/(3)焼肉とプルコギは違うもの
2 朝鮮半島の焼肉の歴史
2・1 古代から高麗時代まで
(1)中国との関係/(2)仏教の影響とモンゴルによる高麗支配
2・2 李氏朝鮮時代
(1)李氏朝鮮時代の肉食/(2)李氏朝鮮時代の焼肉/(3)李氏朝鮮時代のさまざまな焼肉
2・3 植民地時代以降
(1)植民地時代以降の焼肉/(2)焼肉料理の位置
3 日本の焼肉とホルモン料理
3・1 戦前日本の焼肉と内臓食
(1)日本の肉食文化と焼肉/(2)明治以降の焼肉/(3)日本の伝統の内臓食/(4)明治以降の内臓食の浸透/(5)朝鮮人の流入とその影響/(6)内臓の統制価格の告示
3・2 “焼肉”の形成
(1)やみ市の内臓焼肉/(2)朝鮮系の内臓焼肉/(3)朝鮮料理店の焼肉/(4)“焼肉”の成立
3・3 ホルモン料理と内臓食
(1)内臓料理の流行原因/(2)「放(ほ)るもん」説を考える/(3)ホルモンという名の歴史
4 “焼肉”を考える
4・1 内臓焼肉の系譜
(1)俗説は進化する/(2)日本の内臓焼肉/(3)朝鮮の内臓焼肉/(1)ホルモンの語源を探る/(2)ホルモン料理の流行/(3)台頭する朝鮮料理/(4)ホルモン料理の衰退と変化
7 日本の内臓食を掘り起こす
7・1 戦前日本の内臓食
(1)内臓食の実態/(2)内臓の利用と流通/(3)内臓食の普及状況/(4)内臓食文化の違い
7・2 モツ料理と焼き鳥
(1)モツ料理の発展/(2)鶏の焼き鳥は高級料理/(3)モツ焼きの呼称と材料/(4)モツ料理の復活
7・3 内臓の呼称問題を考える
(1)内臓呼称の朝鮮語起源説/(2)“焼肉”で用いられる朝鮮語/(3)内臓呼称の深遠さ
8 “焼肉”の起源再考
8・1 ジンギスカン料理と“焼肉”
(1)ジンギスカン料理の歴史/(2)料理法の変遷/(3)“焼肉”に影響を及ぼしたジンギスカン料理/(4)ジンギスカン鍋とプルコギ鍋
8・2 “焼肉”の誕生
(1)溯る日本の“焼肉”の起源/(2)満州にもあった“焼肉”/(3)“焼肉”の起源地
9 焼肉と内臓食[総論]
9・1 日本と朝鮮半島の焼肉
(1)間違いだらけの焼肉史/(2)日本の焼肉/(3)朝鮮半島の焼肉の歴史/(4)日韓の“焼肉”の特徴/(5)焼肉とプルコギ
9・2 

 焼肉は人気料理である。ダイエットばやりの世の中だが、焼肉は別扱いのようで、テレビや雑誌でも盛んに取り上げられる。焼肉の歴史を書いた本もいくつかあり、単一の料理に関するものではトップクラスに属するであろう。したがって、いろいろなことが調べられ、明らかになっているようにも思われる。そして実際に、日本の焼肉の歴史から韓国の焼肉の現状に至るまで、実に多彩に紹介されてきた。
 だがである。読んでいて「本当かな?」とか、「間違えているな」と思うようなところも見受けられる。というのも、私が朝鮮半島などの東アジアの食文化に関心を持ち、調べ始めてから10年以上にもなるからだ。その知識と照らし合わせると、納得できないところがいくつも見受けられる。
 その疑問を解くには、自分で調べるしかないだろう。そう思いつつ、なかなか決断がつかなかった。というのも焼肉産業は、在日韓国・朝鮮人が主体になって涙と汗を流しながら築き上げた金字塔である。これに係わる歴史を書くには、それなりの覚悟がいる。心してかからなくてはならない。
 一方で、焼肉について質問を受けて、冷や汗をかくことも何度かあった。自分で確信を持てないことを受け売りするわけにてきた。また、紙幅の都合でカットしてしまった部分も多くあった。それらを合わせ、全体を練り直してできたのがこの本である。
 書き上げてみると、焼肉の話に止まらず、内臓食や焼き鳥の話、さらにジンギスカン料理の話まで、きわめて広範な分野に関するものとなった。しかもそのほとんど全部が、初めて明らかになるものばかりである。
 あまりに盛りだくさんで、消化不良を起こしそうな感もあるが、焼肉を理解するためには、どうしてもそこまで拡げざるを得なかった。言い換えれば、焼肉はそれほど、いろいろな分野とのつながりを持ちながら、今日に至っていることを示している。
 焼肉のことを調べるのは、焼肉について知りたいばかりではない。焼肉文化を生み出した社会、人々の暮らし、日本と朝鮮半島の食文化の比較、さらには日韓の文化交流についても知ることができるし、この本ではそうしたことを心掛けたつもりだ。また、その時代を生きた人々の息吹きを、少しではあるが感じることもできる。
 一方、この本はこれまでの焼肉史の間違いを追求するものでもある。しかしこれは、事実に則した歴史を示すためのものであって、焼肉史を構築してきた先達を攻撃するためのものではな

目次

1 焼肉って何だ
2 朝鮮半島の焼肉の歴史
3 日本の焼肉とホルモン料理
4 “焼肉”を考える
5 “焼肉”の日韓関係
6 ホルモン料理を見つめ直す
7 日本の内臓食を掘り起こす
8 “焼肉”の起源再考
9 焼肉と内臓食「総論」

著者等紹介

佐々木道雄[ササキミチオ]
本名、道淵信雄。1947年岩手県盛岡市生まれ。1970年山形大学文理学部卒業。現在、朝鮮半島を中心とする東アジアの食文化史研究に専念
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gtn

18
「焼肉」がいわゆる朝鮮の焼肉を表すことになった経緯や中国、韓国の食文化とその歴史的関係性等、著者の興味は広がる。モツ料理を「ホルモン」と世間で呼んだ所見が昭和11年10月の「古川ロッパ昭和日記」と意外に浅い。また、「放る物」いう俗信の発祥理由が、こんなうまい物を捨てるのかという日本人への蔑視と、こんな物食えるかという在日への蔑視、双方向の差別にあると考証する。焼肉を取り巻く情報量に、読了後腹いっぱいになった。2020/04/19

tkm66

0
<隠れた名著>です2007/09/16

志村真幸

0
 著者は東アジアの食文化史の研究家。  本書は、「焼肉」についての従来の俗説をしりぞけ、歴史的な事実を明らかにしたもの。  しっかりとした調査にもとづいており、信頼できる。  いつから日本で焼肉が食べられるようになったのか、現在のような姿のものになったのはいつか、ホルモンの語源はなにか、韓国での焼肉文化はどのようなものなのか。ひとつずつとりあげ、明確な回答を与えてくれる。  私も、従来の説はあまりに単線的かつエピソード的だと思っていた。目から鱗という感じだ。 2018/04/01

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