世界人権問題叢書
韓国女性人権運動史

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  • サイズ B6判/ページ数 653p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750319452
  • NDC分類 367.221
  • Cコード C0336

出版社内容情報

男性優位社会にあって、韓国の女性たちは人権獲得のたたかいをどう形成・発展させていったのか。性暴力追放運動やDV追放運動、性売買問題、日本軍慰安婦問題、障害女性運動やレズビアン運動など、80年代以降の韓国女性運動が体験した苛烈な軌跡を描く。

第一章 性暴力追放女性運動史(閔庚子)
一 はじめに
二 性暴力追放運動と社会変革運動
三 ジェンダー、セクシュアリティ、そして性暴力追放運動
四 性暴力追放運動の多様な展開
五 おわりに
第二章 妻への殴打〔DV〕追放運動史(李賢淑・鄭春淑)
一 はじめに
二 DV追放運動の形成と経過
三 DV追放運動の主な活動
四 DV追放運動の成果と課題
五 おわりに
第三章 日本軍慰安婦問題解決運動の展開過程(李効再)
一 はじめに
二 挺身隊運動の組織化と日本の民間団体との連帯の形成
三 真相究明のための活動
四 賠償要求運動
五 民族運動としての挺身隊運動
六 生存者支援活動
七 大衆広報活動
八 おわりに
第四章 韓国売春女性運動史――“性売買”の政治史、一九七〇~九八年(閔庚子)
一 はじめに
二 妓生観光政策と性売買反対運動
三 売春女性人権運動
四 法改正運動と合法化論争
五 性売買を女性問題として見ること
六 性売買関連運動の成果と課題
第五章 死んでこそ生かされる女性たちの人権――韓国基地村女性運動史、一九八六~九八年(鄭喜鎮)
一 はじめに一 はじめに
二 女性関連国際人権条約の概観
三 一九九〇年代の女性人権運動と女性人権国際基準の確立
四 女性人権保障のための課題

訳者あとがき
 本書は、韓国女性ホットライン連合編『韓国女性人権運動史』(図書出版ハヌル、一九九九年)の全訳である。
 本書の特色は、韓国女性ホットライン連合(以下、ホットライン)が一九八三年の設立以降、中心課題として取り組んできたドメスティック・バイオレンス(DV)ばかりでなく、“女性に対する暴力”に立ち向かう運動を全体的に含んでいることである。それは、本書を企画・編集した鄭喜鎮さんの卓越した視点とともに、ホットラインの運動の幅広さを示すものといえるだろう。近年韓国では「人権」と名のつく書籍が一○○冊以上も出版されているが、女性の人権となると本書を含めて一、二冊程度に過ぎない。ホットラインが女性人権運動の強力な推進体であることを示すものである。
 ホットラインは現在、全国に二五の支部と一つの支会(支部の中にある)があり、一五○人に上る常勤スタッフと約五千人の会員を抱えている。年間の総予算額は二○億ウォン(約二億円弱)で、単独の女性人権運動団体として最大規模を誇る。各支部はそれぞれの地域社会で草の根的に設立され成長してきたものであり、地方自治体にも少なからぬ影響力を持つ。現在、これらの支部が運営する二八ョナリズムと「慰安婦」の性的被害の問題について深刻に考えさせられていたその頃の私にとって、本書は韓国の「慰安婦」運動を女性運動全体のなかに位置づけて相対化させる視点を与えてくれた。と同時に、私が韓国で暮らしていた一○年間に見ていたものが狭い範囲に限られていたことをも痛感させられた。私が本書の訳出を決心したのは、こうした驚きと反省、そして新たな刺激という諸々の感情や思いを呼び起こした本書を、ぜひ日本の人々にも紹介したいと思ったからである。
 また、二○○○年に再び日本に定住するようになってから気がついたことだが、これまで「慰安婦」問題で共に活動を進めてきた日本の人々(在日も含めて)と韓国の活動家たちとの間で、これまでの頻繁な連帯活動にもかかわらず、「慰安婦」問題をめぐる認識上のずれが少しずつ表面化してきていたことがある。私なりにそのような状況を打開しようといくつか文章を書いてみたりもした。しかし、それよりも本書を日本の読者に提供したほうが、相互理解の助けになるのではないかと思い至ったのである。
(中略)
 近年の韓国社会の変化のめまぐるしさを考えると、ここに収められた内容はもはや過去の一部であるといえるだ

目次

第1章 性暴力追放女性運動史
第2章 妻への殴打(DV)追放運動史
第3章 日本軍慰安婦問題解決運動の展開過程
第4章 韓国売春女性運動史―“性売買”の政治史、一九七〇~九八年
第5章 死んでこそ生かされる女性たちの人権―韓国基地村女性運動史、一九八六~九八年
第6章 韓国レズビアン人権運動史
第7章 正常さに挑戦する女性たち―韓国障害女性運動史
第8章 女性に関する国際人権条約と女性運動

著者等紹介

山下英愛[ヤマシタヨンエ]
津田塾大学国際関係学研究科修士課程、韓国の梨花女子大学女性学科修士・博士課程修了。女性学専攻
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