イスラームとジェンダー―現代イランの宗教論争

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  • サイズ B6判/ページ数 669p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750319346
  • NDC分類 367.226
  • Cコード C0036

出版社内容情報

イランのイスラーム法学最高学府コムで、法学者や知識人たちと女性観や法規定について議論した記録。在英研究者でイラン人女性の著者が、伝統法学派から新思想まで、多様なイスラームの女性解釈の世界を示し、新たなイスラーム・フェミニズムの可能性を探る。

表記について
日本語版へのまえがき
一九九九年版へのまえがき

序章  イスラームにおけるジェンダー――明確化の必要性
第1部 伝統主義者 ジェンダー不平等論
序文
第1章 無視された女性――大アーヤトッラー・マダニー
第2章 政治化された女性――アーヤトッラー・アーザリー=コンミー
第2部 新伝統主義者 ジェンダー均衡論
序文
第3章 表象された女性――『パヤーメ・ザン』との討議
第4章 平等か、均衡か――シャリーアにおけるジェンダー概念の再定義
第5章 再考された女性――アーヤトッラー・ユーセフ・サーネイー
第6章 差異をめぐる合意――『パヤーメ・ザン』との最後の会合
第3部 近代主義者 ジェンダー平等に向けて
序文
第7章 挑戦と共犯――アブドルキャリーム・ソルーシュとジェンダー
第8章 ジェンダー平等とイスラーム法学――ホッジャトルイスラーム・サイードザーデの著作
結論

用語解説
訳者解題
日本語文献案内
文献案内
参考文献
人名索引
事項索引

訳者解題
 二〇〇三年一〇月、シーリーン・エバーディーがノーベル平和賞を受賞するという報に接した。ちょうど本書の訳文の読み通しをして修正や語句統一の作業をしていたところで、驚きつつも、今まで苦手に思って避けてきたイランのジェンダー言説に取り組んだのはやはり世界的な趨勢に合致していたのだ、という確信を得られて嬉しく思った。(なお本書ではエバーディーは批判の対象として登場しているので、少し複雑な気分もあるが。)
 本書は、イギリスの大学で人類学を修めたイラン人女性研究者が、敢然とイスラーム法学の牙城に乗り込んで女性に対する見解を問い質す、という野心的な試みの記録である。イスラーム法学をめぐる議論はかなり難解で、この本を一読してたやすくこの内容を理解できたという人がいるなら行ってひれ伏したいぐらい、正直に言って、厄介な本である。しかし決して容易ではない監訳をひきうけ、二年間も原著や訳文と格闘したのは、本書が類を見ない傑作であるからだ。イスラームと「女性」をテーマとした本は今や決して少なくないが、これほど率直で密な「対話」を通して問題の重層性や幅広さを明らかにした著作はない。
 ミール=ホセイニー女史がイスラー

目次

イスラームにおけるジェンダー―明確化の必要性
第1部 伝統主義者―ジェンダー不平等論(無視された女性―大アーヤトッラー・マダニー;政治化された女性―アーヤトッラー・アーザリー=コンミー)
第2部 新伝統主義者―ジェンダー均衡論(表象された女性―『パヤーメ・ザン』との討議;平等か、均衡か―シャリーアにおけるジェンダー概念の再定義;再考された女性―アーヤットラー・ユーセフ・サーネイー)
第3部 近代主義者―ジェンダー平等に向けて(挑戦と共犯―アブドルキャリーム・ソルーシュとジェンダー;ジェンダー平等とイスラーム法学―ホッジャトルイスラーム・サイードザーデの著作)

著者等紹介

ミール=ホセイニー,ズィーバー[ミールホセイニー,ズィーバー][Mir‐Hosseini,Ziba]
社会人類学者。フリーの研究者、コンサルタントとして活躍。テヘランでドキュメンタリー映画「イラン式離婚狂想曲」の制作にも携わる

山岸智子[ヤマギシトモコ]
東京大学卒、東京大学大学院博士課程修了。学術博士。東京大学助手を経て現在は明治大学政治経済学部助教授。イラン地域研究、文化論が専門

中西久枝[ナカニシヒサエ]
大阪外国語大学卒、カリフォルニア大学ロサンゼルス校歴史学研究科博士課程修了(Ph.D)。現在、名古屋大学大学院国際開発研究科教授。中東をめぐる国際政治、ジェンダーと開発が専門

稲山円[イナヤママドカ]
国際基督教大学教養学部卒。東京外国語大学大学院博士課程後期在学中。イラン地域研究・人類学が専門

木村洋子[キムラヨウコ]
東京外国語大学博士前期課程修了。現在カリフォルニア州立大学ノースリッジ校社会学部修士課程在学中。イランのジェンダー研究が専門
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

A.T

22
著者は1979年のイラン・イスラーム革命を支持していた経歴をもつ(これは「テヘランでロリータを読む」の著者ナビィーヒーも同じ)が、これは女性の社会学者として茨の道の選択(と日本人の私は思う)。ジェンダー概念の3つ「ヒジャーブ(イスラーム女性に求められる被服)」「離婚(男性にはある離婚申立ての権利が女性にはない)」「一夫多妻(新しい妻の登場によって離婚に追い込まれる元妻問題)」を中心に。本文約600ページのうち500ページが保守伝統主義の聖職者との論議が占めるが、これが常に堂々めぐり。(続く)2023/05/04

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