出版社内容情報
19世紀末、英仏列強に挟まれたシャムは権益を守り拡大するため軍隊と地図作製隊を使い周縁に進出した。国家や国民という観念の創造・定着と近代的地図の相関関係を明かし、B.アンダーソンの『想像の共同体』を補完する、ナショナリズム研究の新しい古典。
日本語版まえがき
まえがき
タイ語表記について
謝辞
序 論 国民という観念(ネーションフッド)の存在
第一章 民俗知空間と古代の地図
第二章 新地理学の登場
第三章 国境線
第四章 主権
第五章 周縁
第六章 地図作成――空間の新技術
第七章 地理的身体(ジオボディ)
第八章 地理的身体(ジオボディ)と歴史
結 論 地理的身体(ジオボディ)・歴史・国家という観念(ネーションフッド)
訳者あとがき
注について
注
参考文献
用語解説
索 引
内容説明
本書は、タイ国の旧称であるシャムを事例として、国民という観念が、いかに恣意的かつ人為的に創造されてきたかを検討する。国民という観念の創造にかかわったのは、地理学とその主要な認識手段である地図作成技術という、おなじみの科学であった。国民という観念の創造は、複数の言説の対決と置換のさまざまな瞬間をとおして、進行した。筆者が「地理的身体」と呼ぶ、領域とそれにまつわる価値観や実践など、国民のもっとも具体的な認識手段さえも、実は言説として創造されたものであった。
目次
序論 国民という観念の存在
第1章 民俗知空間と古代の地図
第2章 新地理学の登場
第3章 国境線
第4章 主権
第5章 周縁
第6章 地図作成―空間の新技術
第7章 地理的身体
第8章 地理的身体と歴史
結論 地理的身体・歴史・国家という観念
著者等紹介
ウィニッチャクン,トンチャイ[ウィニッチャクン,トンチャイ][Winichakul,Thongchai]
ウィスコンシン大学東南アジア史准教授
石井米雄[イシイヨネオ]
1929年東京に生まれる。東京外国語大学中退後、外務省に入省。のち京都大学東南アジア研究センター助教授、教授、所長を歴任。1990年退官、京都大学名誉教授となり同年上智大学教授、のち同大学アジア文化研究所所長。1995年紫綬褒章受賞。1997年より神田外国語大学学長。2000年文化功労者顕彰。京都大学法学博士。現在独立行政法人国立公文書館アジア歴史資料センター長、日本学術振興会学術顧問。財団法人東洋文庫研究顧問を兼ねる
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