出版社内容情報
「植民地下の朝鮮人に日本式の名前を強制した」という通説に対して、当時の法令にさかのぼり、行政施策、新聞報道を一つ一つ確かめながら再検討を重ねた著者の代表的研究成果の集大成。
まえがき[飛田雄一]
1 創氏改名の実証的歴史研究のために
一 文定昌『三十六年史』の日本語訳
二 文定昌の「創氏改名」研究の原資料
三 崔獨鵑・作『浪漫時代』の『朝鮮日報』連載第八六・八七回分
四 文定昌『三十六年史』の記述の個別的検討
五 崔獨鵑『浪漫時代』のエピソードについて
六 崔獨鵑『浪漫時代』の各エピソードの検討
2 祖国と儒教に殉じた薛鎮永と柳健永
悲劇の序曲
薛鎮永の自殺
柳健永の自殺
韓国の「姓」の思想
ソンビとしての気概と思想の後進性
3 柳健永(号・石田)の抗議文、遺書
柳健永の略歴
柳健永『石田遺稿』
『独立有功者功勲録』柳健永
4 在日コリアンの日本的通称名について
一 はじめに――在日コリアンの外形的民族指標としての名前
二 在日コリアンの名前の現状
三 日本的通称名使用の理由
四 在日コリアンの日本名使用の歴史
五 在日コリアンの通称名使用の制度的理由
六 おわりに――民族的アイデンティティーと名前
5 在日コリアンの名前に関する一考察
一 はじめに――民族性の外形的王公族と創氏改名
三 “鉄 甚平”と“香山光郎”再考
9 〈論評〉NOといえなかった「創氏」
(1) 植民地体制下の日本人(内地人)と朝鮮人(外地人)の法的区別
(2) 創氏改名政策の目的――皇民化政策
(3) 創氏改名政策の法令――制令
(4) 創氏改名の法的メカニズム――「創氏」と「改名」と「法律名の変更」
(5) 「創氏」は法的強制、「改名」は行政的強要
(6) 「改名」を強要したのは末端の朝鮮人役人であったか?
(7) 台湾の「改姓名」と朝鮮の「創氏改名」
(8) 創氏前の「洪思翊」は姓名、創氏後の「洪思翊」は氏名
〈資料〉 創氏改名は、けっして強制ではなかった
10 〈研究ノート〉「創氏改名」文献案内
一 韓国における創氏改名の研究
二 朝鮮総督府の行政資料
三 各種雑誌にみる「創氏改名」記事
四 朝鮮戸籍簿
五 創氏改名を誹謗揶揄する事件・二題
六 朝鮮総督府官報
あとがき――解説にかえて[伊地知紀子]
目次
1 創氏改名の実証的歴史研究のために―文定昌『軍国日本朝鮮強占三十六年史』の記述の批判的検討
2 祖国と儒教に殉じた薛鎮永と柳健永―創氏改名に抵抗・抗議して自決した二人のソンビ
3 柳健永(号・石田)の抗議文、遺書―資料紹介・第三次朝鮮民事令改正(創氏改名など)に抗議の自殺をした
4 在日コリアンの日本的通称名について―その社会的、歴史的および制度的要因の分析
5 在日コリアンの名前に関する一考察
6 解放後の南北朝鮮における「創氏改名」の処理について
7 美声のテノールに揺れるアイデンティティー―金永吉の名前と国籍の変転
8 研究ノート・「創氏改名」余話
9 論評・NOといえなかった「創氏」―“自由主義史観”の妄談を斬る
10 研究ノート・「創氏改名」文献案内
著者等紹介
金英達[キムヨンダル]
1948年愛知県生まれ。神戸大学卒業。花園大学、関西大学、奈良産業大学などの非常勤講師を務める。むくげの会、兵庫朝鮮関係研究会、在日朝鮮人運動史研究会等の会員として活動。2000年死去。専門は、在日コリアンの歴史・法的地位問題
伊地知紀子[イジチノリコ]
1966年生。現在、愛媛大学法文学部教員
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