出版社内容情報
新古今時代を導いた和歌史の巨人。多くの歌合の判者となり、後白河法皇の院宣で千載和歌集(せんざいわかしゅう)を撰進、式子内親王に和歌の本質をさぐる歌論書古来風躰抄(こらいふうていしょう)を献じた。源氏物語に傾倒し、後継者定家を育て、歌の家冷泉家(れいぜいけ)の基礎を築く。官途には恵まれなかったが、後鳥羽院は俊成九十の賀を催した。歴史の転換期を生き抜いた九十一年の生涯を辿る。
内容説明
新古今時代の代表的歌人。多くの歌合の判者を務め、後白河法皇の信頼を受け千載和歌集を撰進する。古来風躰抄を執筆、後継者定家を育て、歌の家冷泉家の基礎を築く。歴史の転換期を生き抜いた91年の生涯を辿る。
目次
第1章 御子左家の人々―出生以前
第2章 歌の家に生まれて―幼・少年期
第3章 和歌の研鑽を積む―青年期
第4章 歌人たちとの出会い―壮年期前半
第5章 歌評者として自立する―壮年期後半
第6章 清輔と拮抗する中で―老年期前半
第7章 『千載和歌集』撰進を成し遂げる―老年期後半
第8章 歌論の集大成と和歌の体系化―晩年期前半
第9章 俊成の栄誉と伝統の継承―晩年期後半
著者等紹介
久保田淳[クボタジュン]
1933年、東京に生まれる。1956年、東京大学文学部国語国文学科卒業。1961年、東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程退学(単位取得)。1979年、文学博士(東京大学)。現在、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かな
2
藤原俊成は平安末期〜鎌倉初期、その歌才と人柄で実に9人の天皇に仕えた。400頁超は読むのが大変だったが、91歳まで生きたとあればそのボリュームに納得。歌合が盛んだった時代に多くの判者をつとめた事情の詳細が特に面白かった。右方と左方で行う対抗戦であっても、優劣を詳らかにしすぎず各方面の顔を満遍なく立て、良い塩梅に進行する様子はとても見事。対照的に息子定家がいらんこと言ってあちこちで不興を買ったのになんとか残ったのは、長生きして色々援護射撃してくれた俊成あってこそだったのだと思った。勉強になったし面白かった。2023/06/21