出版社内容情報
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内容説明
中世は本当に「武士の世」だったのか?日本の中世とはいかなる広がりを持っていたのか。武士・百姓・女性・宗教・都市などのテーマから中世の時代像をとらえる。列島南北・東アジア世界をも視野に入れ、わかりやすく中世社会全体を見通すシリーズ総論巻。
目次
序章 中世社会を捉え直す
1 武士の職能と身分
2 信仰と寺社勢力
3 中世百姓の成立
4 イエと女性
5 都市と分業
6 荘園と村落
7 一揆の作法
8 中世日本の北と南
終章 アジアの中の中世日本
著者等紹介
木村茂光[キムラシゲミツ]
1946年北海道洞爺村(現洞爺湖町洞爺町)に生まれる。1978年大阪市立大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、東京学芸大学教育学部教授、日本学術会議会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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浅香山三郎
14
吉川弘文館の「日本中世の歴史」(全7巻)の第1巻。武士を戦闘を職能とする者と位置付けたり、凡下・百姓・住人のあらはすものの差違、中世人のイエ意識、列島社会と流通など、概ね80年代以降の「日本史(研究)における社会史ブーム」の成果を組み込む。このシリーズの本は初めてだが、通史と言ひつつも、きつと各巻の書き手が影響された時代の空気といふのは滲み出てくるのだらうなあと思ふ。2017/03/26
スプリント
7
前半はじっくり読み、後半はやや流してしまいました。 次巻も楽しみ。2024/03/18
ma3
3
2000年代半ばまでの最新の研究成果を活用していることからみて、相当新しい知見を反映した中世史概論です。特に武士の歴史的位置付けを「職業戦士」であり、彼らも武芸という職能を継承する集団としているところが面白い。決して、貴族社会に反抗的に生まれてきた階層ではないというところは、勉強になりました。その他、宗教との関係やイエや女性の地位、都市と地方、荘園公領制などの基本的概括が学べ、非常に高い満足度を得られました。ただし、自分には続巻も購入できる財力が…。2013/08/19
Primavera
3
歴史の教科書とは違った中世の開始時期と終わり、また必ずしも中世=武士の時代ではないという捉え方が面白かった。中世以前と比べて資料の量も多いので、さまざまな見解や解釈が出てくるのは当然。中世という時代に興味を持つきっかけとしては良いのではないだろうか。2012/08/03
wang
3
日本中世のかたちを政治史以外の面で多様に叙述。特に荘園の実態や税の形態など、また下克上をささえた民衆の成長や武士の形成など通常の歴史で語られない部分が興味深い。2010/09/26