内容説明
およそ二〇〇〇年前、当時の中国から「倭人」と呼ばれた人々。彼らはいつどこから日本列島に渡り、新たな文化を広めたのか。人類のアジアへの拡散、縄文人のルーツと弥生人への移行など、「倭人」登場への道のりを追う。
目次
「倭人」登場への道のり―プロローグ
旧石器時代の日本列島人(最初の日本列島人は?;大陸と日本列島;人類のアジアへの拡散;新人の起源は?)
謎を残す列島の先住民縄文時代人(縄文時代人;上黒岩岩陰の縄文早期人;高知県居徳遺跡の受傷人骨;縄文人の起源;シルクロードを西へ)
縄文人から弥生人へ倭人の登場(弥生時代人―渡来説の復権;弥生人の源郷は?;山東半島・北阡遺跡の新石器時代人)
海を越えてきた人々を追って―エピローグ
著者等紹介
中橋孝博[ナカハシタカヒロ]
1948年、奈良県に生まれる。1973年、九州大学理学部生物学科卒業。1976年、九州大学大学院博士課程中退。現在、九州大学名誉教授、博士(医学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
16
ネタを列挙すると、「前期旧石器捏造事件の舞台裏/人類のアジアへの拡散と日本への到達の時期と経路/虫歯発生率と食性(穀物の割合)の関係/受傷人骨は戦争か食人か?/絶壁頭は遺伝か風習か?/パルミラで発見された東洋人の骨は漢帝国からの使者?/北部九州で最初に農耕を始めたのは現地縄文人・渡来弥生人のどちらなのか?」と、最初から最後までワクワクしっぱなし。遺伝子解析は新たな地平を切り拓いたけど、骨の形態分析も変わらぬ伝家の宝刀である。ここら辺も機械学習導入すれば、もう少し客観的な分類ができるようになりそう。2019/12/22
nizimasu
4
倭人というのは、いわゆる中国の魏志倭人伝なんかにでてくる日本人の呼称。日本人が日本人として中国から認識されたことで日本は成立したというのは日本の空っぽなアイデンティティを考えるとわからなくもない。この本ではむしろ、考古学的に見た時に日本人のルーツを探る。日本人は渡来人による侵略において縄文の原日本人が「置換」られた説もあれば、混血が進んだ説もあれば、土着の人たちがそのまま農耕を始めた移行説まで。その学説の盛衰は科学の発展と無縁ではないようで著者の時折垣間見える困惑ぶりがこの学問の困難さを窺わせる。何とも…2015/07/17
takao
3
九州の弥生人と中国江蘇省の人骨はそっくり 人骨は個体差が大きい。イヴ仮説への疑問2017/04/23
Tadashi Totsuka
2
日本人は、いったいどこから来たのか?縄文人から弥生人へ。縄文人の頭蓋骨と弥生人の頭蓋骨とは、だいぶ違う。中国大陸南部から、海を渡ってやってきたのかもしれないし、シベリア南部から日本列島へやってきたのかもしれないし、まだまだわからないことだらけですね。科学が進歩して解き明かされる日がくるのでしょうか?2015/10/07
やいっち
2
日本人の由来や形成の歴史をたどる研究の本を読むのは楽しい。筆者によれば、まだまだ謎が多いとか。縄文人にしても、更新世の時代までさかのぼらないといけないし、視野を東アジアや東南アジア、モンゴル…あるいはそれ以上に視野を広げないといけない。最前線で研究する研究者の途上の物語の書。2015/09/22