内容説明
神社本殿の内部はどうなっているのか、寺院本堂とはどう違うのか。知られざる神社建築の実態を、豊富な意匠の事例から、見取り図を駆使して読み解く。時代による変遷を辿りつつ、神社の見方がくまなく分かる、初めての書。
目次
神社本殿の見方(神社本殿の基本構造;神社本殿の各部意匠;流造本殿の構造と意匠)
神社本殿と寺院本堂(神社本殿と寺院本堂の相違;日本の建築様式)
さまざまな本殿形式(本殿形式の概要;最古の本殿形式;流造と春日造の登場;大型本殿の登場;入母屋造の本殿;連棟式の本殿)
神社本殿の起源(本殿の始まり;土台・心御柱と本殿の起源;創始期の本殿の特質)
神社本殿の発展(参入空間の拡大;中世における本殿の発展;近世における古代への復古;近代の復古主義本殿の普及)
著者等紹介
三浦正幸[ミウラマサユキ]
1954年、名古屋市生まれ。1977年東京大学工学部建築学科卒業、工学博士。現在、広島大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アメヲトコ
8
建築史の立場から神社の本殿の構造と形式について概説した一冊。割と断定的に語っている感じはありますが、情報量の多さに思わず著者のペースに引き込まれそうになります。写真が多いのも分かりやすい。広大の先生だからか、厳島神社について語るくだりは熱を帯びていて、とくに廃仏毀釈の一節はこちらまで腹が立ってきます。2017/12/07
chang_ume
5
ほとんど類書のない神社建築の通史概説。神明造や住吉造などの「原初」形態から春日造・流造などへの形態変遷について、身舎と庇の構造を軸に説明する視点はいわばタイポロジーと呼べるものです。社殿建築の観察フィールドワークに参考となる。ただ、本書では神社本殿に関して「神の常在空間」との定義を基に事例分析がなされますが、定義の中身自体が十分に検討されておらず、議論の出発点としてはやや不満も(社殿空間構成の機能分析に実態を掴みづらい)。2017/11/16
ライムとザクロ
5
【16-065】建築の専門家による神社建築の解説書。印象論ではなく明確な根拠に基づく内容なので説得力が絶大。具体例を示した確かなこの内容は宗教としての神道から一定の距離を置いた人物でかつ学者による著書だからと強く感じる。2016/06/19
lanikai
3
七五三や初詣で参拝し、伊勢神宮の式年遷宮の番組を見て、興味を持ち手に取った。神社本殿の屋根の端にツノのように生えている木は千木(ちぎ)といい、その先端は斜めにカットしてある。このカットの仕方には切り口が上を向いたものと横を向いたものと二種類ある。なんて話は序の口で、日本独自の信仰である神道のお社にはへええと唸る話が満載。かなり学術書寄りなので、通読するだけで一苦労。図版もかなり多い方だが、もっとあってもよい。とはいえ知識欲をくすぐられる良書であった。日本史好きなら一度は読んでおいてもいいかも。2014/02/02
wang
2
神社の本殿の建築様式。各部の名称など細部から。建築様式の分類については個々の違いがありすぎて細かな分類をしていくと1様式1社殿などが増えてしまう。それほど多様に発展しきた。著者によると本来神道でご神体は仏像のような固定のものはなく、神様が座す場所を囲む建物が宮殿を参考に建てられたものが発展してきた。故に本殿内部は何もない空間であり神様占有空間。人か立ち入ることが出来ない。仏教の本堂との違い。やはり維新期に神仏分離の時、歴史を知らぬ官僚が仏教色排除という理由で神社として進化した様式を破壊する行為が行われた。2022/07/11