内容説明
明治の極端な欧化政策で危機に瀕した古物(古美術)を、岡倉天心はいかに「美術」品として再評価させたのか。フェノロサらと関わりつつ古美術保護に献身し、「日本美術」発見にいたる天心の足跡を、新史料を交え描く。
目次
「一生の最快事」―プロローグ
「日本美術」発見前史
美術の価値
「日本美術」発見の軌跡
尽きせぬ日本美術の魅力
法隆寺金堂壁画―エピローグ
著者等紹介
吉田千鶴子[ヨシダチズコ]
1944年、群馬県に生まれる。1968年、東京芸術大学美術学部芸術学科卒業。1971年、東京芸術大学大学院修士課程(東洋美術史)修了。現在、東京芸術大学美術学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
2
15-09 法隆寺夢殿!★秘仏如意輪観音(救世観音)天心の初恋観音…吸い込まれるような気品と放心の美…百万言も宇宙的工芸美には到達しえない。当時若干29歳の衝撃であった。それは感受性水琴靴的感性のみならず、西欧文明を猛研究しての該博な知識からくるものであった。明治の極端な欧化政策で危機に瀕した古物を、岡倉天心はいかに「美術」品として再評価させたのか。フェノロサらと関わりつつ、古美術保護に献身し、「日本美術」発見にいたるその足跡を、新史料を交えて描き出す。2011/04/17
鵜殿篤
0
作者が岡倉点心のことが好きすぎて笑った。明治19年のヨーロッパ視察時の手紙についてはこの本で初めて知って、非常にありがたかった。岡倉天心全集には載っていなかったよね?
ナオ
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国宝を求めて地方行脚のくだりが印象的だった。2011/11/06
onepei
0
たしか東京芸術大に像がありました。天心先生ありがとう。2011/04/25
ny
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明治28年の中国美術調査旅行が日本美術優位論の補強材料になったみたいだが、それについて大村西崖「かく(支那を)買ひかぶりたればこそ、本邦の美術を駆りて、驚く可き絶技を演ぜしめたれとぞ思ふ」(「支那の審美論」)と。あと東京美術学校開校当初の予算の半額近くがフェノロサへの給与だったのマジかってなった2018/08/18