内容説明
昔の日本人はどのように話していたのか。『万葉集』の漢字の使い分けやキリシタン資料などから話し言葉を再現し、古代から近代まで言葉が次第に変化する様子を解明。形に残ることのない「話し言葉」の歴史を考える。
目次
言語学的な準備―プロローグ
古代の日本語
古代・中世の文法
中世話し言葉の世界
文字となった話し言葉
スタンダードが東京語を作った―エピローグ
補説 音声と音韻―言語学初心者のために
著者等紹介
野村剛史[ノムラタカシ]
1951年、東京都に生まれる。1975年、京都大学文学部卒業。現在、東京大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
25
先日読んだ同著者の本がとても面白かったので。内容はほぼ同じで先日読んだ本の方がよりわかりやすかった気がするけれど、「話し言葉」という空気からどうやって裏付けを取るんだ?と素人にはただただ不思議だった「音」を定義していく過程が本当に興味深い。言葉は変わり続ける。自分は下町言葉が今も残るエリアに住み、その言葉や文化を愛しているが、日本語という非常にマイナーな言語が残っていること自体奇跡な気がする。2019/03/15
びっぐすとん
13
図書館本。話し言葉そのものはやはり資料が少ないので、書かれている物の中から検討していくわけだが、文法の説明は苦手なのよ~、だからもうちょっと各時代の実例があれば良かったな。文語なのか口語なのか書いてあるものから判断するのは難しいが、ローマ字で書かれた日匍辞書なら発音がわかり現代でも役立っている、バテレンありがとう。従来標準語は東京山の手言葉を元に作られたと言われてきたが、江戸期の江戸、上方の丁寧な言葉(ハレの言葉)から発生したという説も興味深い。言葉が意図的に作られる説より自然発生で広まる方が納得できる。2020/01/24
tama
12
図書館本 難しく半分以上理解不能内容。結局は漢字の発音で近いのを当てて行きそれで出来た万葉仮名から類推するしか手段ないが、記録により別字に変えてあったりし正解不明とか。それすら畿内地方だけ。古代、人を固有名ではっきり名指すのは忌むべきこと!コウモリはカワホリ。キリシタン辞書によると徒然はトゼンと発音し、こっちの方が良く使われてたらしい。同様に海辺はカイヘン。戦国前後のキリシタン資料でも関東・坂東方言は~すべい。江戸の大名屋敷は公式交際言語の島。周りは町人たちの関東甲信越方言の海!2022/08/23
Myrmidon
3
これは思わぬ拾い物でござりまするぞ。読みやすい、論拠がはっきりしていて論理が明確、我々のような素人向けに巻末の基礎知識解説も使える。古代から近世あたりまでの日本語の変遷を概観。一部、筆者の専門分野などは入門書としては詳細すぎるが、難し過ぎて理解できないレベルではない。上方方言から東京山の手言葉、共通語への連続性の話は面白いなぁ。関西人の自分としてはナショナリズムゆえか、単純に大阪弁を標準語(東京ことば)とは対立して捉えてたよ。2013/01/22
satochan
2
文献から話し言葉を考えるってよく考えればすごく大変なことで、それを調べようと思ったことそれ自体がすばらしい。私は古文とか大嫌いだったが、古文とひとくくりにしてること自体が問題だったのかもしれない。時代によって言葉が違うのか。口語とか文語とか文になってるから多少文語である中で、本当に骨の折れる作業だろう。キリシタンの資料も登場するし。資料を調べるとき、何か違う、に気づくって大切だな。室町以降は今とほぼ同じってのも不思議なものだ。でもちょっと違う。奥が深い。2015/08/23