内容説明
大正初期に空前の大ヒットとなった「カチューシャの唄」。歌ったのはスター女優松井須磨子、恋人・島村抱月の芸術座の舞台だった。地方巡業やレコード・映画によって歌が流行してゆく過程と、熱狂する人々の姿を描く。
目次
松井須磨子の歌声―プロローグ
「カチューシャの唄」の誕生
「カチューシャの唄」の流行過程とメディア
地方巡業と唄の再発見
“歌う文化”と流行歌の近代
抱月・須磨子の急死―エピローグ
著者等紹介
永嶺重敏[ナガミネシゲトシ]
1955年、鹿児島県に生まれる。1978年、九州大学文学部卒業。現在、東京大学情報学環図書室勤務。雑誌と読書の近代(日本出版学会賞)、モダン都市の読書空間(日本図書館情報学会賞)、怪盗ジゴマと活動写真の時代(日本児童文学学会奨励賞、内川芳美記念マス・コミュニケーション学会賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
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「流行歌第1号」と言われる1914年の「カチューシャの唄」が、まさかこれほどの大流行だったとは! まさに一大社会現象! 現代的な言い方だと、マルチメディアを駆使し(テレビもラジオもない時代に)劇団の危機を救い、歌った女優・松井須磨子をスーパースターにした。4年後スペイン風邪(インフルエンザ)で急死した島村抱月の後を追った須磨子の悲劇が、なおさら歌を伝説化する。よくここまで当時を紙上再現したものだと感服! さて、音楽を、歌って享受した当時から見たら、聴くだけで楽しむ今の音楽のあり方はどう見えるだろう?2018/12/25