内容説明
身分によって成り立つ近世社会には、家や集団から疎外された人たちもたくさんいた。そのなかに労働力販売で日々の糧を得る者があった。かれらには自身の肉体以外に共同で守るべき所有対象はないし、その労働もだれにでも代替できるものだった。社会の構成原理からは異質な存在ではあったが、それでも当時の社会はかれらの労働を必要とし、むしろそれに依存するものともいえた。その最たるものが武士がかかえた武家奉公人なのである。そのあり方をとおして、近世における労働社会のありようにいささかなりとも迫ってみたい。
目次
身分社会と奉公人
1 武士の役
2 奉公人の調達
3 萩城下の成り立ち
4 周縁部の宿
5 奉公人の結びつき
著者等紹介
森下徹[モリシタトオル]
1963年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専攻、日本近世史。山口大学教育学部助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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