内容説明
日本の古代国家が地方に営んだ国府(国衙)・郡家(郡衙)などの役所―地方官衙は、諸国の民衆を支配して中央集権的な国家を形づくるうえで大きな役割を果たした。都から派遣された国司、地方豪族である郡司と地方民衆との関係はどのようなものであったろうか。近年、各地で地方官衙遺跡が発掘され、木簡などの文字資料が出土してその実像が明らかになってきた。地方社会との接点において地方官衙が果たしたさまざまな役割を手がかりとして、地域の古代史から改めて古代国家像を見直してみたい。
目次
古代の地方官衙が語るもの
1 律令国家と地方官衙(律令国家と地方官衙;国司 ほか)
2 国府の機能と在地社会(国府の構造;国庁 ほか)
3 郡家の機能と在地社会(郡司;郡家の構造 ほか)
4 地方官衙と社会(郡符木簡と封緘木簡;地方官衙と神・仏 ほか)
著者等紹介
佐藤信[サトウマコト]
1952年生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了・博士課程中途退学。専攻、日本古代史。東京大学大学院人文社会系研究科教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hiroshi
5
地方官衙とは地方の役所のこと。ヤマト王権では地方の国・郡に地方官衙を置き、ここで地方社会の統治・把握をして全国支配を行っていた。◆ヤマト王朝は地方豪族が伝統的にもっていた民衆支配権を統合して中央集権的な国家を作ろうとしていた。前方後円墳体制、国造制・屯倉制・部制などを通して地方豪族を大王の王権のもとに編成・服属させてきた。律令国家の地方行政組織は、畿道・七道に編成された諸国の国毎に「国―郡(評)―里(郷)(50戸1里)」で編成され、国・郡・里にはそれぞれ国司・郡司・里長が任命され、地方行政組織を代表した。2020/03/04
海星梨
4
日本史の古代の文章に初めて触れたので目が滑る滑る。語句が分からないばかりでなく、文書や遺跡から推察していく文に馴れなかった。給食の機能があったというのは面白かった。2019/02/15
Mentyu
2
演習発表用に読了。地方官衙のみならず、古代地方史を扱う上で必要な情報がきちんと載っていて良かった。2016/07/03