内容説明
ローマの平和のもとで繰り広げられた史上唯一の公認殺人競技。流血の見世物に熱狂する民衆。いざ、生死を賭けた剣闘士たちのアリーナへ。
目次
第1部 ある剣闘士の手記
第2部 ローマ社会と剣闘士(剣闘士競技という見世物(剣闘士競技の起源と変質;ローマ社会と見世物)
生死を賭ける剣闘士(剣闘士の誕生;剣闘士興行)
流血の見世物が終焉するとき(剣闘士競技批判;「ローマの平和」の終焉と見世物))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
11
最初に「ある剣闘士の手記」という形で剣闘士の日常を描き、その後に典拠となった史料や研究を提示するというスタイル。おかげで古代ローマに生きた「剣闘士」という人々の実態が生き生きと伝わるようになっている。葬儀と結びついた儀式を出発点に、「野獣狩り」との合体から世俗化し、一大人気イベントになるまでの歩みは興味深いもの。また3世紀以後の廃れ具合も、キリスト教の影響という見方を疑問視し、競技性が後退してただの残酷な見世物に零落れたためとする。マッチョで野蛮な古代ローマ文化の香りが、嫌でも感じられる一冊。2022/02/21
FFFT
3
剣闘士の試合や戦士たちがどんなものであったか、色々なエピソードを知ることが出来て面白かった。最初に出てきた手記もいい!2013/04/25
ゆずこまめ
2
剣闘士の手記がよかった。あれがあるおかげで単なる資料としての剣闘士ではなく、血の通った人間としての剣闘士について知りたくなる。2021/02/06
フロム
1
時折筆が走りすぎて、話が脱線するが内容は非常に面白い。剣闘士の死亡率の推察や女性剣闘士の有無など中々突っ込んだ内容である。序盤の剣闘士手記は非常に読ませる内容と成っている。2012/04/27
こひた
1
剣闘士興業の始まりから衰退まで。剣闘士の生存確率推移などから、格闘技興業への観客の刺激鈍化、興業の過激化、そして衰退が見て取れる。エンタメと儀礼性、偶像性と暴力性のバランスががが。現代でも、プロレス団体(WWEとか)や総合格闘団体が苦労してる課題が、透けて見える気が。 頭にTの字が見えたら死亡フラグだそうです(タナトスのシータ)。気をつけましょう。2012/01/07