内容説明
礼は日常生活で私たちが使っていることばです。しかし、その由来はあまり知られていません。この字はかつて文明そのものを意味していました。漢語を共有する東アジアのなかで、礼をめぐる文化は国ごとに微妙に異なります。日本には儒教の礼が浸透しなかった結果、どうなったか?中国における礼概念の起源にまでさかのぼり、儒教の成立とともにこの語が担うようになった重みや、王権の変質にともなう歴史的変遷を検討してみると、私たちがいま直面している大問題の様相が見えてくるのです。
目次
「礼」ということば
1 儒教の成立
2 儒教の拡がり
3 礼教の浸透
4 東アジアのなかの朱子学
著者等紹介
小島毅[コジマツヨシ]
1962年生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専攻、中国思想史。現在、東京大学大学院人文社会系研究科助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きさらぎ
7
特に記述に不満がある訳ではないしコンパクトにまとめているとは思うが、あまりにもコンパクトな通史過ぎて立ち止まる部分がないという印象。時々「ほほー」と思ったり「えっそこもうちょっと詳しく」と思ったりもするのだが、さわりだけでどんどん話が進むので読んだ気がしない。私には合わなかったなあ。2019/04/04
Hiroki Nishizumi
2
礼の概念は分かっていなかった。読んで良かった。2018/06/01
韓信
1
儒教及び「礼」の教説の成立・普及を描く。前漢後期の礼制整備の中で封禅から郊祀と宗廟へと儀礼の中心がシフトし、王莽の簒奪を理論的に支えた劉歆が決着し、班固はその後継者なので、漢書は礼制の転換が完成するまでを描いたという見解は、個人的には非常に新鮮。漢の宗室なのになぜ劉歆は王朝交代の論理を孕む郊祀と宗廟の二重制度へ舵切りしたのか、彼個人への関心が深まる。あと鄭玄の学説は漢制と合わず魏で採用されていたそうで、彼の権威付けは後世のものなのだろうか?気になるトピックが多くて儒教史を体系的に勉強したくなる良い入門書。2021/11/30
逃げるが勝ち!!
1
やっぱり学問、儒学かな⁈著書は怒るだろうが…でもこの学問、結構好きだな。2014/06/03
しえろ
1
礼の右側は豐だと思ってた2011/12/18