内容説明
船が行き交う水路の岸辺を歩き、太鼓橋を越え、茶館で休み、また市場の雑踏へ入る。水路沿いには白壁に黒瓦がのった素朴な家々が軒を連ね、水辺の石段では洗い物をする人の姿が絶えない。こんな魅力的な小さな町が中国にはある。一方で、北京のような明快で威厳に満ちた王都も存在する。世界の都市文明を考えるのに欠かせない中国。本書では、その都市空間を解読する。
目次
中国都市へのアプローチ
1 王都北京を読む
2 水郷都市蘇州のまちづくり
3 小都市の世界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
「水の都市として、その姿を今に伝える『平行図』は、1229年につくられた蘇州の都市図である。しかも、700年をへた今もなお、東西3.5km、南北4.5kmの都市形態ばかりか、道路や水路の骨格もほとんど変わっていない…石板に彫られた『平行図』でまず際立つのは、都市を長方形に囲む堅固な城壁だ。その中央には、まわりを壁で囲まれた衙門があり、都市全体で二重の入れ子型の構造をもつ。…まず水路が計画され、それと平行に道路が付けられ、水路と陸路が一体となった交通網…もう、おわかりだろう。北京の都市にきわめて似ている」2020/04/20
ああああ
5
北京や蘇州、そのほかの鎮などの都市のあり方が書かれていて、なるほどなあ~と思う。数百年にわたって都市が拡張していくとき、そのときどきの尺の長さによって街区の大きさが違ったり、水路での運搬や騎乗者用の門についてなど、ブラタモリ的な面白さがある。添えられた地図や絵を見ているだけでも楽しいが私自身に知識がないので、偶然居合わせた専門家とタモリに解説してもらえたらもっと楽しめそう。2021/01/07
†漆黒ノ堕天使むきめい†
5
碁盤の目のような都市づくりは、中国から日本へと渡っていった事は聴いたことがある。その影響は中国のその後の都市づくりにも多大なる影響を与えていることは知らなかった。 また船の行来を考えて6メートル以上の幅を作っていた頃と、岸に多くの店を作ることとなってしまい、幅が狭くなってしまったという歴史の流れというものは、日本の都市空間を見る上でもとても重要な事を教えてくれるヒントとなっていると感じた。2015/08/08
見もの・読みもの日記
2
18世紀の北京や13世紀の蘇州の姿を伝える地図、特に前者の詳しさには感動。こういう地図をもとにしたら中国版「ブラタモリ」がつくれそう。2018/01/18
しえろ
1
時代ごとの尺貫法に基づいてグリッドをつくり、それらを被せていく、ってのはなるほどなと思った。都市計画って視点は面白いなー2011/12/05