出版社内容情報
安保法制、民主化、移民、経済格差、ASEAN共同体…戦争の20世紀を超えて、アジアはどこへ向かうのか。戦後、脱植民地化の時代を迎えたアジアは、各国が経済発展を模索するなかでグローバル資本主義と接合し、世界の成長地域として21世紀を迎えた。とくに中国は、改革開放に転じて30年で世界第2の経済大国となり、アジア太平洋地域で覇権を行使する意思を明確にしている。本書では、第2次世界大戦や冷戦の歴史をふまえて、アジアの現状を正確に知り、アジアの人々とどう向き合うかを展望する。
はしがき
序 章 グローバル化時代のアジア(藤田和子・文 京洙)
??脱植民地化と冷戦を超えて
1 第2次世界大戦後70年
2 変容する米国主導の国際秩序
3 戦後70年の日本とアジア
4 本書の構成と各章の内容
第?部 アジアの変容
第1章 東南アジアと中国(藤田和子)
??統合する小国と復権する大国
1 ASEAN共同体の創設と地域
2 冊封体制と植民地体制
3 脱植民地化と冷戦
4 交易の海はいま??21世紀の課題
第2章 朝鮮半島の安全保障(金 光旭)
1 一国の安全保障
2 冷戦後の安保地形の変化
3 中韓間の政経連携
4 米中安保ディレンマの狭間
5 深まる孤立の国
6 日中韓の安保協力
第3章 東アジアにおける日本の新たな役割(文 京洙)
1 安保法制??日米同盟の新局面
2 戦後民主主義の危機と東アジア
3 米国のアジア政策と日本
第4章 南アジアの宗教と人間の安全保障(ジョルジオ・シャーニー)
1 植民地統治下における「宗教」の構築
2 分割の亡霊??ポストコロニアル南アジアにおける共同体間暴力
3 南アジアにおける「対テロ戦争」と人間のインセキュリティ
4 南アジアの文脈でのポスト世俗主義
第5章 アジアン・ムスリム・ネットワーク(鈴木規夫)
1 ムスリムのネットワーク性
2 ハッジのアクチュアリティ
3 「13世紀世界システム」とアジアン・ムスリム・ネットワークの形成
4 ダーイシュをめぐり輻輳するネットワーク
5 ネットワーク拡張の近未来
第6章 アジアの人身売買問題(山根健至)
??越境する暴力とガヴァナンス
1 現代アジアの人身売買問題
2 人身売買対策の現状??規範の伝播と制度の形成
3 人身売買問題のガヴァナンスと市民社会組織
4 人身売買対策の課題??越境型暴力との苦闘
第?部 アジア諸国の課題
第7章 韓 国(鄭 章淵)
??「財閥共和国」の行方
1 「財閥共和国」の成立とその実像
2 民主化とグローバル化に揺れる韓国経済
3 財閥改革論議の混迷と経済民主化
4 財閥改革の推進と経済民主化のために
コラム1 韓国ソンミサン・マウルの試み(大津健登)
第8章 中 国(小木裕文)
??改革開放以降の中国新移民と僑郷の変容
1 国際移民環境下での中国新移民
2 中国新移民と僑郷の変容の事例
3 中国新移民の多様化と中国社会
コラム2 中国のユーラシア構想(パレパ・ラウラ-アンカ)
第9章 フィリピン(福島浩治)
??移民経済のエンクロージャー
1 開発と経済成長の現段階
2 フィリピン経済からみた海外就労政策の40年
3 移民経済のエンクロージャー
4 「略奪システム」から「抵抗の回路」へ
コラム3 ピナトゥボ火山噴火と故郷を追われたアエタの人々(仲田和正)
第10章 ベトナム(栗原浩英)
??ドイモイの下で存在感を増す「平民」達
1 ドイモイの30年
2 一党体制と「民意」
3 「平民」による自己主張の開始
4 ベトナムはどこへ向かうのか
コラム4 ベトナムで親を介護(小松みゆき)
第11章 カンボジア(石澤良昭)
??文化復興を先導するアンコール遺跡保存官の養成
1 カンボジア大虐殺から国家再建に向けて
2 日本主導によるアジア外交の成果
3 アンコール・ワット修復を通じて平和構築へ
4 文化復興を先導するアンコール・ワット人材養成活動
5 遺跡の修復と人材養成
6 文化遺産の啓蒙教育および環境保全教育
7 グローバル・アジアと文化的独自性の再発見
第12章 マレーシア(井出文紀)
??多民族国家の成長の行方
1 マハティールの引退と議会演説
2 独立以来のマレーシアの政策展開
3 ポスト・マハティールの環境変化
4 連立体制と首相への信任低下、批判の声
コラム5 インドネシア・アチェ州の津波災害と復興(阪本将英)
第13章 タ イ(水上祐二)
??混迷する民主化
1 2つに分断された国民と「民主主義」
2 タクシン政権下で生み出された分断
3 挫折した脱タクシン体制
4 赤と黄のデモ合戦
5 2014年クーデター後のタイ民主化の行方
コラム6 バングラデシュにおける水災害と人々の適応(大倉三和)
第14章 インド(加藤恒彦)
??新自由主義が開けた「パンドラの箱」
1 独立後の輸入代替産業育成政策から経済自由化へ
2 新自由主義経済政策の光と闇
3 インドにおける左翼政党の独立後の状況
4 「左翼戦線」政府の農村政策と都市政策
5 州政府の鉱物資源開発政策と住民・毛沢東派の抵抗
関係年表
人名索引
事項索引
藤田 和子[フジタ カズコ]
編集
文 京洙[ムン ギョンス]
編集
内容説明
戦後、脱植民地化の時代を迎えたアジアは、各国が経済発展を模索するなかでグローバル資本主義と接合し、世界の成長地域として21世紀を迎えた。とくに中国は、改革開放に転じて30年で世界第2の経済大国となり、アジア太平洋地域で覇権を行使する意思を明確にしている。本書では、第2次世界大戦や冷戦の歴史をふまえて、アジアの現状を正確に知り、アジアの人々とどう向き合うかを展望する。
目次
グローバル化時代のアジア―脱植民地化と冷戦を超えて
第1部 アジアの変容(東南アジアと中国―統合する小国と復権する大国;朝鮮半島の安全保障;東アジアにおける日本の新たな役割;南アジアの宗教と人間の安全保障;アジアン・ムスリム・ネットワーク;アジアの人身売買問題―越境する暴力とガヴァナンス)
第2部 アジア諸国の課題(韓国―「財閥共和国」の行方;中国―改革開放以降の中国新移民と僑郷の変容;フィリピン―移民経済のエンクロージャー;ベトナム―ドイモイの下で存在感を増す「平民」達;カンボジア―文化復興を先導するアンコール遺跡保存官の養成;マレーシア―多民族国家の成長の行方;タイ―混迷する民主化;インド―新自由主義が開けた「パンドラの箱」)
著者等紹介
藤田和子[フジタカズコ]
1940年生まれ。1963年東京大学教養学部卒業、1966年東京大学大学院社会学研究科修士課程修了、国際学修士。現在、宇都宮大学名誉教授
文京洙[ムンギョンス]
1950年生まれ。中央大学法学部卒業、法政大学社会科学研究科修士課程修了、博士(地域政策学)。現在、立命館大学国際関係学部特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。