内容説明
20世紀の消費社会研究を刷新する、歯止めのない大量消費でも、自己顕示や記号的消費でもない、「文化的で人と自然にやさしい消費」を捉える歴史的大著。前半で消費の多様なあり方を四つに分けて論じる。二〇世紀には、大量消費と機械化を追求する「第一の消費」、自己顕示や商品の差異を求める「第二の消費」が広がったが、二〇世紀末からは文化を通じた幸福と社会的配慮による安定を目指す「第三の消費」が台頭し、また消費を抑える「ゼロの消費」も復活したことが示される。後半では、これらの相互関係を分析するとともに、文化的で人と自然にやさしい第三の消費が活性化している状況を確認しつつ、新しい消費の捉え方を提案する。
目次
序章 消費文化研究の現代的課題
第1章 第一の消費文化
第2章 第二の消費文化
第3章 第三の消費文化
第4章 ゼロの消費文化
第5章 消費三相理論
第6章 文化的価値を求める消費
第7章 社会的影響に配慮する消費
第8章 消費文化の将来像
著者等紹介
間々田孝夫[ママダタカオ]
1952年生まれ。1979年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。金沢大学文学部助教授を経て、立教大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あん
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これまでの消費社会に対する言説とこれからの消費社会の動向をうまく整理して解説している。2021/08/29
station to station
1
いわゆる消費社会が成熟して久しい今日であるが、消費をめぐる人々の価値観やその実態を的確に捉えた研究は思いのほか乏しい。そうした中、著者は従来の消費社会論を踏まえた上で、それを批判的に乗り越え、21世紀の消費文化のあるべき姿を描出する。すなわち、大量消費・大量生産を前提に、合理的機能の高度化と消費量の増大を是とした第一の消費文化と、消費により他者との差異や優劣、所属集団との同調や離反を表現する第二の消費文化を従来の消費文化とし、文化的な価値や社会的配慮の実現を主眼とする第三の消費文化の意義を見出すのである。2019/06/02
ミッキー
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筆者の立ち位置から語るとこうなるけれど脱物質の視点はもっと豊かな議論を引き出す事が出来ると思います。でも、理念を提示して豊かな生き方を推奨しようという姿勢には賛成です。参考になります。2021/02/04