内容説明
社会学はどう使えるのか、どう使うべきなのか。本書は、教祖デュルケーム、天才ジンメル、巨匠ウェーバー、伝道師パーソンズ、達人マートン、鬼才ルーマンという六人の「偉大な社会学者」たちの人生と著作を通じて、社会学の形成と展開をたどるとともに、それをふまえて現代社会学の地平を見渡し、現代の社会を描く方法を解き明かす。
目次
社会学の使い方
第1部 社会学の形成と展開(社会を観察すること―社会学とは何か;始まりのデュルケーム―二重の少数派として;目に見えるモノと見えざるもの―科学の視線と方法;ジンメルの問いの平面―社会と形式;ウェーバーの旋回―実証と比較;パーソンズと機能主義―理論社会学の地平;マートンの視点と手法―当事者と観察者の間で;到達点と転回―ルーマンをめぐって)
第2部 現代社会学の地平(内部観察と自己論理;制度と自己産出;システムの時空;機能分化と自己記述)
社会学はなぜ必要なのか
著者等紹介
佐藤俊樹[サトウトシキ]
1963年生まれ。1989年東京大学大学院社会学研究科博士課程退学、社会学博士(東京大学)。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
4
すこぶるおもしろい!社会学がこんなに躍動的で感動的だったなんて!。特にR.マートンの章は体が震えるほどでした。なんせ、今まで使っていた大学時代の先生の書かれた方法論の本が事の他おもしろくな・・・(ゲフンゲフン)であったので、方法論という無味乾燥なテーマであってもこのように魅力的に描くことが出来るとは衝撃的でした。システムとは?機能とは?みたいな、今更聞けないけど、そういえばちゃんとした説明をあまり聞いたことがないようなキータームも学史的な流れに沿って丁寧に解説してくれており、絶好の教科書だと思います。2014/02/28
きをふし
4
【動機】伊庭先生の『社会システム理論』あたりからの流れで。【内容】今の社会学を「常識をうまく手放す」と「社会が社会をつくる」に見出し、ここにたどり着くまでに社会学者たちがどのように考え、方法を凝らしてきたかが書かれている。また読者が社会学を使えるようになるためのヒントを示している。【感想】理論を「公理論」と「モデル」に分けて対比するのがおもしろい。「モデル」という言葉に潜む多様性と自己言及の深みをみた。よくわからないところも多かったが、まさに社会学を使いながら書かれた部分の文章は楽しい。2013/07/02
まつゆう
3
今のところ、これ以上に、自分の蒙が啓かれた入門書はお目にかかれてない。偉大な社会学者たちが「つかった」方法を分析し、現代社会学が「つかっている」方法と適宜関わらせながら、視点や問題点を挙げる。そして(筆者が言う)〈上手く常識から距離をとり、また常識に戻ってくる〉という、社会学の「つかい方」のエッセンスを示してくれる。自分には到底思いつかない深度、観点で読んでるなぁ…と脱帽。2012/09/15
numainu
2
評価D2019/04/30
au-lab
2
始まりのデュルケームから、ジンメル、ウェーバー、パーソンズ、マートン、ルーマンと、社会学のが学説史を「方法」という切り口で、独特の解釈で辿ってゆく。ルーマンの社会システム論を解体し、再構築するという試みまで含め、とてもわかりやすいのに深く刺激的な書。社会学は社会の自己記述であると同時に、多様な見方を提供することに価値がある、一方でなんでもありではなく、論理的な「中範囲」の理論が重要だとする指摘は、つい唯一のグランドセオリーを求めがちな自己中心性に楔をさしてくれる。2016/11/29