内容説明
カルトはその実践においても認識においても、これまでの宗教概念とは異なるものとしてとらえる必要がある。他方、スピリチュアリティは従来の制度や組織、固定化した崇拝対象といった信仰概念ではとらえられない現代人の心的態度を示す。現代的宗教のすがたとも呼びうるこのふたつの現象と正面から向き合った、カルト/スピリチュアリティ研究の到達点。
目次
カルト問題の比較文化社会学
第1部 カルト問題(人間関係への嗜癖としての回心―「摂理」と学生・青年信者;過程としての回心―エホバの証人、福音派からカトリックへ;脱会過程の諸相―エホバの証人と脱会カウンセリング;脱落復帰=リスタートに向けて―引きこもりとカルト)
第2部 スピリチュアリティ現象(宗教研究における「当事者性」とスピリチュアリティ論;被害者のクレイムとスピリチュアリティ;現代日本社会とスピリチュアリティ・ブーム)
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著者等紹介
櫻井義秀[サクライヨシヒデ]
1961年山形県生まれ。1987年北海道大学大学院文学研究科行動科学専攻博士後期課程中途退学。現在、北海道大学大学院文学研究科教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
17
ぼく自身、神社仏閣が好きだったり(知識として)宗教の成り立ちや歴史、開祖について学ぶのが好きだったり、何ならいわゆるオカルト的なお話が大好きだったりはするけれど、幸か不幸か救いだの癒しだのを他人に求めるようなチンケな了見を持ち合わせていないので、そうしたカルト的なモノに勧誘されたりハマったりした経験はない。身も蓋もないけれど、別に何に救いを求めようが、それにより個人の小さな人間関係が破壊されようがそれは本人の勝手なので、その先の暴走を防げるシステムさえあれば構わないのではないかと。アホだなとは思いますが。2022/08/10
さり
4
スピリチュアルについて細かく書いてある2020/11/09
emi
2
元から自己啓発やスピリチュアルとカルトの境界線。そこに向かう心理や傾向に興味があり、偶然図書館で見つけて...。ド・スピではなくとも、趣味として神社巡りや歴史、朱印状など精神世界・目に見えないものに惹かれていく気持ちは私自身も分かる。ただ、著者と同じように危機感を何となく感じていたので、なるほどと思うこともあり興味深かった。だが、論点があちこちに飛躍している感は否めない。カルトの方が研究されているということもあると思うが、スピの身近さから、多くの人が何らかの形で関わることは興味深く今後も観察していきたい。2014/08/06
ybhkr
0
編者の文章はあまりフラットではなく、あまり好きではないなあ、という印象。元々の疑心暗鬼の上から目線が気持ち悪い。大学の先生だからかなあ、ルポライターよりも面白味にかける。印象的だったのは渡邊大氏の章に出てきた米本和広の著書をよんだ有田さんの感想。そんな読み方しかできないのかなあ?少なくてもこれだけの人数が人生を保護監禁で奪われているという事実が隠蔽されるほうが怖いよ。逆マインドコントロールについての本は必要だし、マイノリティの小さな声を潰してはいけないんじゃなかろうか。全体的に第一部が読みごたえあり。2016/03/31
ヒルデ
0
カルト問題には大きく分けて、元信者が社会的復帰を果たすためのコスト・教団内での人権侵害があるけど、どれも信者本人が自覚しなければ副産物としての問題は避けられないのか?特に人命と人権どちらかを選ばなきゃならない事態が生じるなんて異常すぎる。2012/11/17