内容説明
7年近くに及ぶ占領を終えて独立を回復しようとしていた1952年春、新しい日本の安全保障を確保する手段として吉田茂が選び取ったのは、米軍による沖縄の戦略的支配・日米安全保障条約・日本自身の漸進的再軍備という組み合わせであった。吉田はなぜ、どのように、この方針を決定したのか。そしてこれが日米間の合意として成立したのはなぜだったのか。本書は、戦後日本の安全保障政策の起源というべき吉田の決定が、米ソ冷戦へと突入する国際政治と連動しつつ日米間の相互作用を通じて形作られる過程を、日米の一次資料を駆使して実証的に描き出す。
目次
序章 吉田茂の選択と戦後日本の安全保障政策
第1章 戦後世界秩序の形成のなかの日本
第2章 東アジア冷戦戦略のなかの日本―マッカーサー、ケナン、ジェサップの非軍事的発展路線
第3章 講和と安全保障をめぐる政策決定:米国―国際安全保障の一環としての日本の安全保障
第4章 占領下における外務省の安全保障研究―非軍事化・冷戦・自律性の維持
第5章 講和と安全保障をめぐる政策決定:日本―米国による安全保障の選択・再軍備への消極的姿勢
第6章 日米間合意の形成―日米安保・漸進的再軍備・琉球諸島の戦略的支配
終章 吉田茂の選択の国内政治的・国際政治的意味―安全保障構想の共鳴関係のなかで
著者等紹介
楠綾子[クスノキアヤコ]
1973年神戸市生まれ。2004年神戸大学大学院法学研究科博士課程後期課程修了。博士(政治学)。現在、大阪大学大学院国際公共政策研究科国際安全保障政策研究センター研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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