内容説明
子どもと大人の「共に生きる」関係、それはお互いに主体であるもの同士が相手を主体として受け止め合う関係です。本書では、相互主体的な関係という視点から乳幼児期の観察事実を詳しく分析し、この観点を生かす方向性を示します。
目次
序章 相互主体性の概念に至るまで―私の研究史を振り返る
第1章 主体という概念を再考する―「主体としての育ち」を考えるために
第2章 相互主体性の観点から間主観性の問題を考える
第3章 乳幼児期における相互主体的な関係
終章 相互主体的に生きることの難しさ
著者等紹介
鯨岡峻[クジラオカタカシ]
1943年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。京都大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まろすけ
4
良書だがやや重複多い。あと著者の癖か二重否定表現多し。でも情熱的な本。⚫間主観性と相互主体性⚫叱る。あなたのしていることは認められないがあなたの存在(主体)は認める⚫青年期。社会通念、その共同主観的な既存の力に巻き込まれ-取り込むことへの抵抗と、そうせねば大人になれないジレンマ。外部のものがいつの間にか浸透してくることへの違和感⚫間主観的。あなたの主観のある状態が、あなたと私の間を通って私の主観の中に伝わってくること。等。メルロポンティ『子どもは多形性を持つ存在で、成長は一種の貧困化』の一文がシビれた。2017/05/21
おサゲっち
2
名著 優れた研究者は概念を生み、新たな学問領域を切り開き、さらに深化させる。幼児教育の様々な場面や過程に教育の様態や着目点が現れている。子どもの主観性を取り巻く情動領域と行動領域へ養育者(主に母親)のそれでもってベロを伸ばす概念で間主観的に子どもを把握する。こうした養育者の関わりによって自分の存在を受け止め、映し返してくれ子どもは自信を持つ。一方養育者は養育者で関わり・育てているのだが、育てられている側面もあり、その意味で両義性を持っている。当たり前を科学するとこういう本に仕上がるのだな。2020/05/25