出版社内容情報
大盗や怪盗はある意味で花形役者である。これは悪のナポレオンと若き牢破りとの丁々発止の対決。遠い巷の轟きを聞くような物語。
内容説明
悪の帝王ジョナサン・ワイルド、対するは名うての牢破りジャック・シェパード。大盗・怪盗華やかなりし時代のろんどんを舞台に展開するスリリングな歴史活劇。
著者等紹介
野尻抱影[ノジリホウエイ]
明治18(1885)年、横浜に生まれる。昭和52(1977)年歿。早稲田大学英文科卒業。研究社の編集部長を務め、英文学の他に星座にかんする研究・啓蒙書を多く執筆する。作家の大佛次郎は実弟
池内紀[イケウチオサム]
1940年、兵庫県姫路市に生まれる。ドイツ文学者、エッセイスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぱせり
13
ルパン全集(南洋一郎さん翻訳の)にわくわくした子どものときを思い出す痛快さ。ちょっと古くてのんびりとした冒険活劇を楽しみつつ、18世紀イギリスの町や田園、森などにも思いを馳せています。 2012/04/11
きりぱい
8
ジャック・シェパードVSジョナサン・ワイルド。前者は脱獄名人の泥棒、後者は政府の手先の密告係となり悪党ににらみを利かせる悪党の中のボス。どちらも17世紀後半から18世紀初めに実在した人物。英文学者である著者がジャックを描くために19世紀の資料を漁って紡がれた物語。ジャックがふと盗んだ宝石箱から、兄弟分の出生の秘密とその後の捕縛騒動が展開し、ニューゲート牢獄を破るまでの活劇はなかなか痛快。実録を踏まえ、彼らを実伝や歌劇として残した作家デフォーや劇作家ジョン・ゲイらがジャックの獄を訪ねるのも面白い。2012/01/15
旭
5
少年活劇の空気がどことなくなつかしい。出生の秘密も悪漢も友情も盛り込まれていて、語りも痛快。ニューゲート脱獄のあたりなんて、子どもの頃に読んで、もっともっとどきどきしてみたかった。鍛冶屋さんとの挿話が最後まで粋で、何だかとても好きです。2012/10/22
ワッピー
5
ロンドン裏社会の首魁でありながら、警察とも通じ、思うままに犯罪者を操った悪名高きジョナサン・ワイルドと、何度も脱獄してはワイルドに立ち向かう若きジャック・シェパードの息詰まる攻防。せっかく脱獄したなら、さっさと逃げていけばいいのに、ワイルドへの復讐のために何度でも危地へ乗り込む「熱さ」は結局ジャックの命取りにはなったけれど、ワイルドもその半年後には刑場の露と消えた・・当時のロンドンの危うい社会状況と声のない民衆の怒りの波が伝わってくる気がします。2011/12/30
三月★うさぎ
4
ちょっと時代がかった昭和な翻訳がちょうどいいね。世の古今東西を問わず快盗物語は愛されるのだな。2014/03/02