心は遺伝子の論理で決まるのか―二重過程モデルでみるヒトの合理性

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  • サイズ B6判/ページ数 413,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622074212
  • NDC分類 141.5
  • Cコード C1045

内容説明

私たちはなぜ、ときに合理的な思考に背くのか。認知心理学、行動経済学、進化心理学といった分野は、ヒトならではの思考の仕組みを探り、驚きと示唆に満ちた成果を上げてきた。本書はその収穫をもとに、進化的に獲得した思考パターンと個人としての分析的思考の葛藤のモデルを論じ、現代人にとっての落とし穴を考える。認知心理学や行動経済学の研究は、ヒトの意思決定の非合理性を実証的に暴いてきた。「利己的な遺伝子」の概念はその解釈に新たなひねりを加え、進化心理学は、一見非合理な心理機能も進化の観点から適応的意義をもつ可能性を指摘した。さらに、それらの成果を「二重過程モデル」を用いて二元的に解釈する試みも蓄積している。本書はそれらの幅広い議論を見て回り、それぞれの視点の違いをも浮かび上がらせる。

目次

第1章 ダーウィニズムの深淵を見つめる
第2章 みずからと戦う脳
第3章 ロボットの秘密の武器―合理性について
第4章 認知心理実験でみる、自律的脳のバイアス―ときに私たちを悩ませるショートリーシュ型の心の特徴
第5章 進化心理学はどのように道を誤ったか
第6章 合理性障害―これほど多くの賢い人たちが、これほど多くの愚かなことをするのは、なぜか
第7章 遺伝子のくびきからミームのくびきへ
第8章 謎のない魂―「ダーウィン」時代にヒトたる意義を見出す

著者等紹介

スタノヴィッチ,キース・E.[スタノヴィッチ,キースE.][Stanovich,Keith E.]
トロント大学発達・応用心理学部門の応用認知科学部長。発達・教育心理学、特に言語学習障害、読み書き障害に関する長年の認知科学的研究で優れた業績を認められている。教育におけるマタイ効果に関する論文も注目されたが、さらに近年は、いわゆる知能テストでは計れない合理的思考能力の評価指標の重要性を訴え、その認知心理学的研究に力を入れている

椋田直子[ムクダナオコ]
翻訳者

鈴木宏昭[スズキヒロアキ]
青山学院大学文学部教授。専門は認知科学(思考、学習)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ささらもさら

3
「人間は遺伝子の乗り物である」で有名(らしい)なドーキンスの知見を出発点に、人間にとって論理的であるとはどのようなことかという考察が展開される。進化心理学、意思決定論、経済学など他分野にも広がり内容が盛り沢山。けど、じっくり読めば内容が追えるくらいには分かりやすかった。面白かった!2016/07/17

鴨長石

2
人間の認知システムは、直観的で迅速なシステム1(TASS)と、分析的・合理的で遅いシステム2が共存するという二重過程理論を詳細に解説する。結論としては脳がこのような構造を持っていることを自覚した上でなるべくシステム2を作動させるべき、というわりあい単純なものだ。しかし、ドーキンスを読んだときに何となくしかイメージできていなかったミーム(文化生成子)について、かなりはっきりと認識できた。「悪い」ミームが自分の中で自己増殖するのを阻止し、追い出す努力をすべきだというのは納得と同時に責任感も覚えさせる。2021/03/31

ぶんもう

1
ネオダーウィニズムの発展により、人間は遺伝子のロボットでしかないことが暴かれた。著者は人間の思考を二重過程モデル(TASSと分析的システム)と表す。EEAでは合理的だったTASSも、現代においてはバイアスとなっている。 だが私たちには、ミーム(文化的複製子)も潜んでいる。ミームは分析的システムを脅かす。これら、2つの複製子に抗い、ロボット自身の利益を追求することが「ロボットの叛逆」である。 人間は唯一、道具的合理性から逸脱できる。一次的評価と二次的評価の齟齬を統合しようとする思考が人間だけのメタ合理性だ。2019/12/18

メルセ・ひすい

1
★5  遺伝子の継承のために生物は生かされている。ヒトはなぜ、ときに合理的思考に背くのか。認知心理学、行動経済学、進化心理学などの成果を元に、進化的に獲得した思考パターンと個人としての分析的思考の葛藤のモデルを論じ、現代人にとっての落とし穴を考える。 解説:鈴木宏昭 2009/07/28

メルセ・ひすい

1
★5  示唆膨大 特にドーキンスの解説 ・私たちはなぜ、ときに合理的な思考に背くのか。私たちはなぜ、ときに合理的な思考に背くのか。認知心理学、行動経済学、進化心理学といった分野は、ヒトならではの思考の仕組みを探り、驚きと示唆に満ちた成果を上げてきた。本書はその収穫をもとに、進化的に獲得した思考パターンと個人としての分析的思考の葛藤のモデルを論じ、現代人にとっての落とし穴を考える。※2009/04/10

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