ホモ・ヒエラルキクス―カースト体系とその意味

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  • サイズ A5判/ページ数 592,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622038474
  • NDC分類 362.25
  • Cコード C3039

出版社内容情報

西欧的な偏見から、私たちはインドのカーストを歪めて理解していないか。それははたして「人や物の自由な交通を阻害し、インド経済の低迷の元凶になった」「閉鎖的で<前近代的な>身分集団」なのか。
この疑問から出発し、著者は本書で次のような問いを立てる――当事者たちは、カーストをどのように理解しているのか? かくしてカースト体系の意味を問う膨大な作業始まった。デュモンはいわば、カーストの宇宙に参入することを通じて、西欧近代の人びとにとって「思考しえないもの」とされるヒエラルキーの意味、さらに西欧近代のイデオロギー(平等主義的個人)との密接な関係、というテーマを掴みだしたのだ。そこで出会ったのは、浄・不浄という宗教観念だった。
本書は、社会人類学の方法によるインド研究の基本文献であり、金字塔である。さらに、異文化について語るとはどういうことか、近代イデオロギーとは何かという思想的な問いに挑み、二大文明社会の比較を射程に据えた<モダン・クラシック>。

Louis Dumont(ルイ・デュモン)
1911-1998。文学博士。フランス国立美術館連合(民衆芸能と伝統技術)助手、オクスフォード大学講師を経て、1955年より社会科学高等研究院(インド社会学,次いで比較社会学講座)研究指導教授。シカゴ大学名誉博士、イギリス芸術科学アカデミーおよびアメリカ芸術科学アカデミーの外国会員。L'ideologie allemande: Homo Aequalis 2(ドイツ・イデオロギー) によってアマルフィー・ヨーロッパ賞受賞。著書 Homo Aequalis 1 (ホモ・エクワリス)、Affinity As a Value (価値としての婚姻関係)、『個人主義論考』(言叢社 1993)、『インド文明とわれわれ』(みすず書房 1997)ほか。

内容説明

「平等的人間」の対極の概念、ホモ・ヒエラルキクス。はたしてカーストは前近代的な身分集団か?インド研究の金字塔、近代イデオロギーとは何かという思想的な問いに挑む「モダンクラシック」。

目次

概念の歴史
体系から構造へ―浄と不浄
ヒエラルキー―「ヴァルナ」の理論
分業
婚姻規則―分離とヒエラルキー
接触と食物に関する規則
権力と領土
カーストの統治―司法と権威
付随現象と意味
比較(ヒンドゥー教徒以外、インド以外にカーストは存在するか;現在の動向)
補論(カースト、人種差別主義、「社会成層」―社会人類学者の考察;インドの宗教における現世放棄;古代インドにおける王権の概念;ナショナリズムと「コミュナリズム」

著者等紹介

デュモン,ルイ[デュモン,ルイ][Dumont,Louis]
1911‐1998。文学博士、フランス国立美術館連合(民衆芸能と伝統技術)助手、オクスフォード大学講師を経て、1955年より社会科学高等研究院(インド社会学、次いで比較社会学講座)研究指導教授。シカゴ大学名誉博士、イギリス芸術科学アカデミーおよびアメリカ芸術科学アカデミーの外国会員。L’ideologie allemande:Homo Aequalis 2(ドイツ・イデオロギー)によってアマルフィー・ヨーロッパ賞受賞

田中雅一[タナカマサカズ]
1955年和歌山市に生まれる。ロンドン大学経済政治学院(LSE)博士課程学位取得。国立民族学博物館助手を経て、現在、京都大学人文科学研究所助教授。大学院人間・環境学研究科(文化人類学)担当。専攻、社会人類学、南アジア民族誌

渡辺公三[ワタナベコウゾウ]
1949年東京に生まれる。東京大学大学院博士課程修了。国立音楽大学助教授を経て、現在、立命館大学文学部教授。専攻、文化人類学、人類学史、アフリカ民族学
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