百年文庫  46

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  • サイズ B6判/ページ数 155p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591119280
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

家格の違う家に嫁いだ娘が夫の冷たさに耐えかね実家にもどった。すべてを胸にしまい夜の帰路につく娘の健気さ、哀しみを分け持とうとする庶民の生き方が胸を打つ、樋口一葉の『十三夜』。いつか小さな店をかまえることを願って働く吉次は茶店の若い娘に想いを残して戦地へ赴く(国木田独歩『置土産』)。若き芸術家が集うミュンヘンのカフェで出会ったマリイ。降りしきる雨のなかを疾駆する青春のロマンス(森鴎外『うたかたの記』)。美しい文語の名篇を総ルビで味わう一冊。

著者等紹介

樋口一葉[ヒグチイチヨウ]
1872‐1896。現在の東京・内幸町生まれ。本名は奈津。1892年に処女作『闇桜』を発表。94年末から『大つごもり』『にごりえ』『たけくらべ』など名作を次々と執筆したが、96年に24歳の若さで早世。1年数か月の絶頂期は「奇蹟の1年」などと呼ばれた

国木田独歩[クニキダドッポ]
1871‐1908。千葉県生まれ。本名は哲夫。記者として活躍した後に小説を書き始め、1898年に代表作の『武蔵野』を発表。1906年の作品集『運命』が高く評価され、自然主義の中心的存在となった

森鴎外[モリオウガイ]
1862‐1922。現在の島根県津和野町生まれ。本名は林太郎。1884年に陸軍軍医としてドイツに留学。帰国後、軍医学校の教官を務めながら作家活動をおこない、多くの名作を残した。海外文学の翻訳者としての功績も大きい(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風眠

62
もしも過去にタイムスリップできたとして、明治時代の人と話をするには通訳が必要かもしれない、ふとそう思った。口語と文語は違うけれど、この『宵』に収められた文語で書かれた物語を読むと、日本語にも移り変わりがあり現代語に至っているのだと、遥かな気持ちになる。一葉が綴る情緒、独歩の硬派な感じ、鷗外のパッション。同じ文語でも、作家によって色彩が変わる。当時は漢字をこういう風に当てて読んでいたのだなと、総ルビに助けられた読書だった。正直、スッとは読めなかった。けれど百年文庫のおかげで文語というものに触れる事ができた。2019/02/27

モモ

60
樋口一葉『十三夜』望まれてお嫁に行ったのに夫は冷たくあたる。お関は離婚しようと実家に帰るも、涙は分けて泣こうと父に言われる。子どもと永遠に別れるくらいなら、その決断で良いのだろうがモヤモヤする。『国木田独歩『置土産』三角餅の茶屋の常連吉次の悲しい置土産。森鴎外『うたかたの日々』文語体で三作品のなかで一番読みにくかったが、話に入り込むと気にならなくなるのが不思議。日本人留学生の巨勢はドイツ人少女マリィと出会う。数奇な縁で繋がる二人だが、まさかの悲劇が襲いかかる。国木田独歩の作品をもう少し読んでみたい。2020/08/12

神太郎

42
樋口一葉「十三夜」。とにかく「染み入る」。最初は読みづらくこれで上下2部構成読み切れるか不安だったが、ハマればさらりと読める。日本人特有のセンチメンタルと言えばいいのかエモーショナルの描写が上手い。国木田独歩の作品も感情に訴えかけるというのか「もの悲しさ」が良い。プラトニックな恋愛いいねぇ。森鴎外「うたかたの記」。ややファンタジーを取り入れつつ、ドイツ女性とエリート画家志望男性の悲恋?を描く。なんか少し展開が舞姫っぽいが読ませる力は抜群にある。でもドイツ人女性になんか恨みでもあるのか?見えない因縁を描く。2018/01/12

阿呆った(旧・ことうら)

24
◆樋口一葉『十三夜』、国木田独歩『置土産』、森鴎外『うたかたの記』◆どれも文語体で多少読みにくい。どの話もせつないな〜。2017/03/03

15
樋口一葉『十三夜』、国木田独歩『置土産』、森鴎外『うたかたの記』の文語による三篇。十三夜がよかった。文体に更級日記で源氏読んでるときのウッヒョーなリズム感がある。子が生まれてから夫にパワハラされまくり、離縁を望み実家に帰るも、世間体や子どもを盾に我慢しろといわれ、泣く泣く戻る途中、昔馴染みで好意を持っていた車夫に出会う。大河のいだてんで日本橋に打ちあがってた花火を思い出すような話だった。何もかもが遠い花火だった。2021/04/18

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