内容説明
振り手と買い手の声が飛び交う古本市で、年下の小僧たちにさえ圧倒される青年・耕吉。生活力に溢れた庶民の仕事ぶりに、ほろ苦く自らを断ずる青春(島木健作『煙』)。遺言により封印された著名コレクターの蔵書をねらう男が繰り出す、抱腹絶倒の奇策の数々(ユザンヌ『シジスモンの遺産』)。同郷の文学青年に教えを請われ、作家のなんたるかを指南するうち、思わぬ人生訓にたどりつく『帰去来』(佐藤春夫)。「愛書狂」たちの、滑稽でちょっと切ない物語。
著者等紹介
島木健作[シマキケンサク]
1903‐1945。札幌市生まれ。本名朝倉菊雄。苦学しながら20歳で中学を卒業。農民運動に加わって共産党に入党するが、1928年に検挙されて転向。34年、獄中体験に基づく『癩』で注目される。終戦の2日後に肺結核のため死去
ユザンヌ[ユザンヌ][Uzanne,Octave]
1852‐1931。フランスの作家、編集者、古書蒐集家。書誌学への造詣の深さを生かし、幅広く出版活動に携わる。自ら造本を手掛けた『扇子』『日傘』などは、アール・ヌーボー風の美しい装幀で愛書家の垂涎の的となっており、古書市場で高値を呼んでいる
佐藤春夫[サトウハルオ]
1892‐1964。和歌山・新宮生まれ。文学を志し、中学卒業後に上京。新詩社で与謝野鉄幹に師事、詩人として世に出た後、1918年『田園の憂鬱』で新進作家の地位を得た。60年に文化勲章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
えみ
モモ
あじ
神太郎