百年文庫  12

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  • サイズ B6判/ページ数 167p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591118948
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

太陽堂釣具店主人の鑑定によると、私の白毛はテグス糸の四毛ぐらいの太さである―そんな私が渓流釣りの青年たちに味わわされた腹立ちやまぬ珍事件(井伏鱒二『白毛』)。見事な釣竿に目がくらみ拝んで手にしたはよいのだが…江戸の怖い話(幸田露伴『幻談』)。互いに家族を抱え生活に追われながら、将棋を指し、釣りに興じと交友を温めてきた日々。男たちのさりげない友情が胸にしみる上林暁『二閑人交游図』。含羞とユーモア、水面にうつる滋味豊かな人間模様。

著者等紹介

井伏鱒二[イブセマスジ]
1898‐1993。広島県生まれ。本名は満寿二。1929年に『山椒魚』で認められ、37年の『ジョン万次郎漂流記』で直木賞を受賞。飄々としたユーモアの中に鋭い観察眼が光る文章で、多くの読者に愛された

幸田露伴[コウダロハン]
1867‐1947。江戸・下谷生まれ。本名は成行。電信修技学校を出て、電信技手として北海道に赴くが、坪内逍遙の『小説神髄』に影響されて文学を志す。1889年のデビュー作『露団々』以降、小説、史伝、随筆、評論など幅広い分野で活躍

上林暁[カンバヤシアカツキ]
1902‐1980。高知県生まれ。本名徳廣巌城(いわき)。東大卒業後、改造社に入社。1932年発表の『薔薇盗人』が認められて作家生活に入る。一連の病妻もので知られる私小説作家で『晩春日記』『聖ヨハネ病院にて』『白い屋形船』など作品のほとんどすべてが短篇だった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

79
「白毛」は一見すると笑い話かもしれない。だけど、もし、自分が作者と同じ立場だったらと考えるとゾッともするし、腹が立つ。もてなしたのにこの仕打ちと無礼はあんまりだ!しかも自分じゃなくて他人様の髪を使って釣りをするという神経はどうかしている!「幻談」は既読だけど、再読しても怖い。幾ら、物入りだったと言え、土左衛門の所有物を着服するのは止めよう!胸がムカムカするような怖さがある二篇に対し、「二閑人交游図」のほのぼのさに一息つけました。倹しい生活の中での愉しみが大変、粋だ。そして少し、ブロマンス風でもあり(笑)2018/08/20

えみ

62
会話によって作り出される豊潤な日常、滑稽で愛しい人間の面白味が溢れている。そんなユーモアたっぷりの3篇の短編を収録した『釣』。百年文庫シリーズ第12弾。立派な白毛が強奪される!?渓流釣りの青年から受けた屈辱を語る、井伏鱒二の『白毛』。出来心から土左衛門の握っていた釣竿を抜き取ったことで引き寄せてしまったのか?…江戸の恐怖体験、幸田露伴の『幻談』。いつまでも続いてほしいと思う男の友情が心温める、上林暁の『二閑人交遊図』。思いがけない人の行動に圧倒された一冊。彼らは人生の荒波の中一体何を釣り上げたのだろうか。2022/11/21

モモ

47
井伏鱒二『白毛』面白い。釣りが好きな私の頭毛は場所によって太さが違う。私の白毛は釣りに使うテグスと見分けがつかない。それにより起こる事件。こんなこと実際にはないと思うが、井伏鱒二の文章の面白さ爆発。井伏鱒二の作品をもっと読んでみたい。幸田露伴『幻談』ちょっと怖い話。死んでも離さない大事なもの…。神林暁『二閑人交遊図』ドイツ文学に傾倒している滝沢と作家の小早川。二人は仲良し。滝沢の妻は死別し、小早川の妻は療養中。心配事で心に翳りはあるが、何気ない二人のささやかな生活にほっとする。味わい深い作品の数々でした。2022/08/19

(*'ω' *)@k_s

35
県立図書~文豪の名短編を編纂した1冊。テーマは“釣”~井伏鱒二『白毛』昔は馬の毛を撚って釣糸にしていたのね✍️白毛にまつわる思い出したくない話、若者達の傍若無人ぶりに辟易しましたが、ラストの老釣人との会話が面白い✨~幸田露伴『幻談』冒頭の山の話も、本題の川の話も肝が冷えます。この方の他の作品も読んでみたい。~上林暁『二閑人交游図』男同士の友情。忙しい中でも、酒を酌み交わし、共に釣りに出かけられる…なんか、いいな。2023/05/07

おいしゃん

34
ほのぼのした、釣りにまつわる3篇。このシリーズは初めて手に取ったが、気軽に馴染みのない作家にも親しめて良い。2018/10/02

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