百年文庫

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  • サイズ B6判/ページ数 155p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591118849
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

「いやじゃ!おれは一生やつに口をきかぬと決心したのじゃ」―。極端に性格の違う二人の家老が引き起こす珍騒動。競い合いながら老年を迎えた男たちの人生に決着はつくのか?(海音寺潮五郎『善助と万助』)。職を求め、恋人を残して海を渡った男の運命の物語『五十年後』(コナン・ドイル)。才能に恵まれつつも僻みを捨てきれず堕落していく孤独な男の再起をえがいた『山椿』(山本周五郎)。いずれも膝を叩きたくなるラストシーン、人を信じる忍耐力と希望を伝える名篇。

著者等紹介

海音寺潮五郎[カイオンジチョウゴロウ]
1901‐1977。鹿児島県生まれ。本名末富東作。大学を卒業して教職についた後、海音寺潮五郎の筆名で応募した懸賞小説に当選。1936年に直木賞を受賞した。雄渾にして詩情あふれる歴史小説で人気を博す

ドイル,コナン[ドイル,コナン][Doyle,Arthur Conan]
1859‐1930。英国スコットランドのエディンバラ出身。医学部を出て開業医になったものの患者が少なく、暇な時間を利用して小説を書いていた。名探偵「シャーロック・ホームズ」の生みの親で、推理小説というジャンルを確立した作家と評されている

山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903‐1967。山梨県生まれ。本名清水三十六(さとむ)。小学校卒業後、質店の徒弟や新聞記者等の職を経て作家に。1943年には直木賞に推挙されたものの、文学は賞のために存在するのではないと受賞を辞退。終生庶民の暮らしを見つめ続けた作家だった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

152
どうしても損得勘定をしてしまう。この人といると自分にはどんないいことがあるだろう、この人に手を貸しておそろしいことをされたりしないかな?きっと無意識で計算している心の奥底を、いちど洗ってまっさらに、白紙にしてしまいたい。「信じただけだよ。信じられるくらい人間を力づけるものはないからね」裏切られることなど想像もせずに、ひたすら信じることはもう難しい。でも信じたい。夏の暑さに雪原をおもうような。2020/06/24

やすらぎ🍀

147
百年文庫。三作品収録。…①なぜ意地を通すのか。それよりも大切なものがあるだろう。心が離れ心を解す。愛のある厳しさに嬉し涙が溢れてくる。申し訳なかった。良いも悪いもない、同士であると。…②過ぎ去りし五十年の歳月。運命の犠牲を負った互いが、涙をとけ合わすことさえできればそれでいい。失望と狂乱は蘇り、忍耐と信頼は叶い、清らかに旅立った。…③凍ての宵。微笑、当惑げな寂しい眼、空を眺める。遠雷が鳴り響く。火鉢の灰が低く呻いている。人徳に桔梗が咲く。…世は連綿とつながっている。我一人で生きてはいけない。「絆」である。2022/01/08

新地学@児童書病発動中

122
絆をテーマにした3つの短編。海音寺潮五郎の「善助と万助」は男同士の武骨な友情に泣ける。山本周五郎の「山椿」は、この作者らしい隙のない名品。人を信じることの素晴らしさを教えてくれる。ドイルの「五十年後」はドラマチックで感動的な作品。物語の終盤で女性の一途な想いが実を結ぶところに救われた気持ちになった。シャーロックホームズの作者が、このようなロマンティックな物語を描いていたことが意外だった。2015/12/28

アン

92
人と人が触れ合い、信頼し思い遣ることで結ばれる心の絆は一粒の真珠のように美しい。少年の頃、主人が兄弟の誓約をさせた家老2人。老年を迎え剛情者の心を溶かした誠実な熱い想いと深い友情に涙こぼれる『善助と万助』海音寺潮五郎。デヴォンシャーの町に住む、結婚間近な恋人達を襲う悲劇。カナダへ渡った男の運命の行方とひたむきな愛の尊さ『五〇年後』コナン・ドイル。優れた才能を持つ男の堕落と再起、夫を拒み続ける新妻の思わぬ告白が切ない。人を支える力『山椿』山本周五郎。心なごむラストでしみじみとした味わいがある忘れ難い名篇。 2023/09/07

藤月はな(灯れ松明の火)

89
どれもこれも読んだ後は晴れやかな気持ちになります。「善助と万助」は良い歳をした男が頑なに口を訊かなかったのは、そういう理由!?言葉よりも行動で示した方が強烈なのは何時の世も同じか。「五十年後」はコナン・ドイルが執筆。悪辣な宿屋一家によって運命を狂わされた二人。それでも巡り会えた奇跡と短くも限りなく、幸福なその後を思うと胸が暖かくなる。「山椿」の操を頑なに守り、自害すらも辞そうとしないきぬに対しての主馬の粋さが鮮烈だ。そして彼にはあの子の方がいいのはもう、分かりきった事だったんだね。2018/08/02

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