内容説明
約一千百年前、中国から日本へ伝来した「漢籍」。それはいったいどのようなものであったのか、どんなふうに読まれていたのだろうか?『竹取物語』『源氏物語』をはじめとする「やまとことば」の文学に多大な影響を与えた唐代の詩人・白楽天による大ベストセラー『白氏文集』から日本そして東アジアの伝統文化を考える。
目次
第1部 漢籍のきた道(最初に漢籍を読んだ日本人、菟道稚郎子;悲劇の皇子、菟道稚郎子の最期 ほか)
第2部 かぐや姫のくにへ(平安文人たちと『白氏文集』;『竹取物語』は何処から来たか ほか)
第3部 紅葉を愛でる人々(「黄葉」が「紅葉」にかわるまで;菅家廊下の渡来人 ほか)
第4部 日本人の古典、白楽天(日中古典文学の「国境」;日本人の好きな漢詩 ほか)
エピローグ 漢詩の色―杜甫と白居易の詩から
附録 白居易年譜略
著者等紹介
静永健[シズナガタケシ]
1964年生まれ。九州大学大学院人文科学研究院准教授。中国文学講座に所属。文学博士。『白居易研究年報』編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kozawa
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中国文学研究家で白楽天研究家が日本の漢詩について。良い研究が進むかどうか。2010/02/21
読書記録(2018/10~)
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日常に真珠のようなキラキラとしたときめきを見出す白楽天の心、確かに日本古典文学の流れに直結している感がある。日本人の感性に適合したのだろう。道真や紫式部を例に中国語で書かれた文献を中国の原音で読む、という受容を推測しており、まったく考えたこともなかったので興奮した。刊本の普及が遅れた日本には、却って白楽天の原文が残ったというのも面白かった。2021/12/02