平凡社新書
日本の文化ナショナリズム

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  • サイズ 新書判/ページ数 277p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582853032
  • NDC分類 361.5
  • Cコード C0210

出版社内容情報

日本人は自身の文化をどのように語り、どんな自己像を形成してきたのか?古代から現在までをくまなくたどり、紆余曲折した文化ナショナリズムの歩みを描き出す。

内容説明

ナショナリズムは、政治や経済に限られた現象ではない。それはむしろ文化の面において、より深く広く現れる。近代国民国家の生成は、文化的自画像の編成をうながし、明治日本も、「国民文化」の創造に乗り出した。「国語」を制定し、「日本文学」という伝統を作り出し…。しかしその歩みは、思いのほかジグザグの道をたどったのだった。錯綜する価値の間を行き来した日本の文化ナショナリズム。多彩な文化事象を渉猟しつつ、その道行きをくまなくたどる。

目次

第1章 文化ナショナリズムとは何か(いま、なぜ、文化ナショナリズムか;ナショナリズムとは何か)
第2章 国民国家の創造(発明された歴史;天皇制も発明された)
第3章 国民文化の形成(「国語」の不思議;「日本文学」は二重の発明 ほか)
第4章 「帝国」の思想(大衆ナショナリズムの時代;普遍主義と文化相対主義 ほか)
第5章 戦後の文化ナショナリズム(敗戦の思想;日本文化論の季節 ほか)

著者等紹介

鈴木貞美[スズキサダミ]
1947年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。国際日本文化研究センター教授、総合研究大学院大学文化科学研究科教授。博士(学術)。学際的な共同研究の方法を開発しながら、日本近現代の文芸・文化史の再編に力を注ぎ、国際的に活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ハチアカデミー

8
B 日本近代文学研究において、学問としての文学がいかにして成立するかを真摯に考えている著者による、近代日本の「ナショナリズム」研究。国がどのように捉えられてきたのかを、あまたの文献逍遙によって考究している。古代から中世にかけ、複数の「国史」が存在したことから、日本人にとって歴史が固定したものではなく、そこから穿ちの精神が生まれた。また、伝統は作られたものであるという指摘も、天皇制をはじめ実例がおおく挙げられていて腑に落ちる。現代に生きる我々がいかに言葉の「概念」の色眼鏡をかけているかを知ることができる。2012/06/17

awe

5
ナショナリズムをすぐ悪と決めつけるのは日本的であるという話から論が進められる。西欧的な一般的なナショナリズムは、キリスト教的な普遍主義に覆われていた欧州がネイションという単位に分割されていく際に働くイデオロギーである。ただこうしたあり方を英仏型とすれば、ドイツのような「民族の血」をモチーフとするような血統主義的なナショナリズムもあり、日本はこちらに近いものとされている。本書は、そうしたナショナリズムの「本質」を文化だとする立場をとる。文化の構成様態の違いこそが異なるネイションを生み出すというのだ。2020/11/03

左手爆弾

4
徳川時代の儒者達は聖徳太子を仏教興隆のために崇峻天皇を殺害した「弑逆王子」と呼ばれていたが、明治40年に初めて名誉回復が行われる...など、今当たり前に日本文化の中枢だと思われているものが、歴史の中でどのような言説で作られてきたかが語られている。テーマは多岐に渡るが、全体を通じて「明治の近代化=西洋化」という図式を厳しく批判している。その中でも、明治期の知識人は日本語や英語等の西洋語に加えて、漢学の素養を持った「トリリンガル」だという指摘は極めて重要。やがてそれがナショナリズムに変貌していくわけだが。2015/10/13

rbyawa

3
j096、前半は大変面白かったものの(江戸時代から始まる文化の本も多いものの、流れがわかりにくいものも多い)、大正から昭和になる辺りの時代にて「あれ」となってしまってそのまま戦時中に至り、戦後に関してはまた面白い感じ、この著者さんは他の本も何冊か読んでますがだいたいそんな感じだなぁ…単独で見ると面白いところもあるんですが流れを語るには情報が少ないんじゃないのかな…(探偵小説と詩人知識だけでモダニズムを語っている辺りかなこれ)。あと、「国文学」は前提にして欲しかったです…それ文芸のこと扱う学問じゃないよ…。2019/08/24

kota

2
まず、基礎知識がなさすぎて理解するのに苦しんだ。主に、明治期から現代に至るまでの、日本の文化、思想、心情、政策、いわゆるナショナリズムの変遷を説いていくのだが、激しい紆余曲折を経て来たのが分かる。それぞれの時代でヒトは悩み苦しんで来た。だからこそ今の日本があるのではないか。難しかったが、西田幾多郎やルースベネディクトなどの読んでみたい本を見つけることができた。とにかく、戦争時代の思潮には戦慄がはしる。2018/08/23

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