出版社内容情報
ティムールとチンギス・ハンの血を引くバーブルはインドにムガル朝を樹立した。その道のりを自伝的にたどった稀有のドキュメント。
内容説明
ティムールとチンギス・ハンの血を引くバーブルはインドにムガル朝を樹立した。その道のりを自伝的に辿る稀有のドキュメント。第2巻は20~30代を過ごしたアフガニスタン時代。(全3巻)
目次
第2部 カーブル(アフガニスタン)(九一〇年(一五〇四‐〇五年)の出来事
九一一年(一五〇五‐〇六年)の出来事
九一二年(一五〇六‐〇七年)の出来事
九一三年(一五〇七‐〇八年)の出来事
九一四年(一五〇八‐〇九年)の出来事
九二五年(一五一九年)の出来事)
著者等紹介
間野英二[マノエイジ]
1939年生まれ。京都大学大学院博士課程単位取得退学。京都大学名誉教授。専攻、中央アジア史。現在、龍谷大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きいち
29
バーブル若年期・カーブル編。治世は安定はしないとはいえ、振舞いは完全に王者。そして、敵対してる部族は皆殺し、一方、結構えぐい裏切りしても、身内にはかなり甘い。いやはや、クビを切って塔を作るわ命令守らなかった者の鼻はそぐわ、かなりの異世界。かろうじて、ああ、信長と同時代なんだよな、鉄砲をいち早く導入するし…という文脈と、バーブル自身の飲酒だったり恋だったり宴会だったりといった日々の快楽に関する率直な記述でなんとか想像力をつなぐしかない。◇編訳間野の解説を読んだおかげで理解が進む。手元に置きながら読まなきゃ。2018/09/04
かごむし
20
バーブルの自叙伝。カーブル編。若くしてリーダーとなり、流動的な国際情勢に翻弄された一人の若者が、英邁な軍人として、優れた政治家として、また稀有な文筆家として成長した姿が実感できる。バーブル率いる軍が、雪山を踏破できずに遭難した際には、家臣がバーブルに洞窟に入るよう勧めても頑として拒んだ。バーブルはペルシア語の諺を引用して言う。「友とともにする死は婚礼である」。狭い洞窟で自分だけ生き残って何になろう。愛する君たちと一緒に死ぬのならそれは本望だ、と。バーブルのために命を投げ出す若者が大勢ついてきたことだろう。2017/04/30
コカブ
4
1巻はイスラム暦1493年から1503年までだったが、2巻は少し時間が空いて1504年の記述から始まって1509年まで続いたのち、1519年に飛んで1520年で終わっている。途中の10年ほどは欠落があるようだ。バーブルはカーブルの征服を志してアフガニスタンに向かい、手薄なカーブルを占領する。しばらくカーブル近郊へ遠征に出かけているので、都市を支配しても地域を平定はしていないようだった。アフガン人に対する扱いはひどくて、しばしば略奪に出かけている。空白の10年間にはサマルカンド遠征に出たが、失敗したらしい。2015/05/02
うぃっくす
2
バーブル21歳から41歳まで。途中で突然10年の空白期間がある。それが終わると火縄銃も登場するしあんなに飲酒嫌がってた バーブルががんがん酒飲んでるしマージューン(麻薬なども混じった練り物)も飲みまくってるしでいろいろあったんだろうね。相変わらず地名とか人名とか馴染まなくて読みにくいけど少し慣れてきた。色んな部族を襲撃したり、首の塔、とか鼻をそぎ落とす、とか淡々とあるのも当時の世界観なのかな。 態度の悪い人に腹を立ててグーパンしたら薬指脱臼しちゃったっていうの少しかわいい…。2017/09/18
kaeremakure
2
「配置についていなかった者の鼻をそぎ、軍中を引き回させた」「生擒にされて連行されて来た者をもその首を打たせ、野営地に首の塔を建てた」「みせしめのために私はその内の数人を串刺しの刑に処させた」「カフラージュの住民に兵士らが利用する四〇〇〇ハルワールの穀物を課した。その徴収のためにスルターン・ヴァイスを派遣した。農民や山地の住民たちはかつてこれほどの額を課されたことはなかった。彼らは穀物を納めることができず滅ぼされた」なんてのを読むと、先祖のティムールが自伝を書いても割と似た感じだったんじゃないかと思える。2014/12/14