平凡社ライブラリー
再生産について〈上〉―イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置

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  • サイズ 文庫判/ページ数 336p/高さ 17cm
  • 商品コード 9784582767117
  • NDC分類 311
  • Cコード C0310

内容説明

現代の思考に、多方面にわたる巨大な影響を与えてきた「イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置」(一九七〇)、長大な草稿から抜粋・構成されたこの論文は、長く誤解にさらされてきたものでもあった。草稿全体の公刊によって、この哲学者のイデオロギー論、イデオロギー装置論が、再生産論という本来の文脈の中でようやく十全なる姿を現す。決定版の待望のライブラリー化。

目次

生産諸関係の再生産(読者へのまえがき;哲学とは何か;生産様式とは何か;生産諸条件の再生産について;下部構造と上部構造;法;国家と国家の諸装置;フランスの資本主義的社会構成体の政治的および組合的AIEについての短い考察;国家の政治的および組合的イデオロギー諸装置;生産諸関係の再生産について)

著者等紹介

アルチュセール,ルイ[アルチュセール,ルイ][Althusser,Louis]
1918‐1990。アルジェリア生まれ。マルクス主義哲学者。1948年、エコール・ノルマル・シュペリウール講師、また共産党員となる。1960年代から、マルクスの方法的な読解によるマルクス主義理論の独自の再解釈を発表、マルクス主義者はもとより、“構造主義”以降のさまざまな思想家に巨大な影響を与える。1980年、妻を殺害、精神病院に収容される。のち退院し、1990年死去

西川長夫[ニシカワナガオ]
1934年生まれ。立命館大学名誉教授。専攻:比較史・比較文化論

伊吹浩一[イブキヒロカズ]
1967年、静岡県生まれ。専修大学大学院文学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学。現在、専修大学、愛知大学非常勤講師。専攻:哲学、フランス現代思想

大中一彌[オオナカカズヤ]
1971年、東京都生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程満期退学、哲学博士(パリ第10大学)。法政大学教員。専攻:政治思想

今野晃[コンノヒカル]
1970年、東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。現在、専修大学、東京女子大学、法政大学非常勤講師。専攻:社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Z

10
フランス共産党の理論的指導者の本。5月革命後の本で熱気がある。共産党であるため資本主義、特に労働力の商品化=搾取を問題視。労働者は奴隷ではない。法的に認められた自由な契約に基づく。資本主義的生産様式にはそれに応じた法があるが、ルールだけだとそれは効力を持たずサンクションに関係付けなければ機能しない。よって刑法がベースにあり、暴力が背後にある以上、国家は抑圧的である。そのような暴力に根差した抑圧的な機構を国家の抑圧装置あるいは政治装置とよび、軍隊、警察、裁判所、刑務所、加えて政府、行政機関をあげるが、その他2018/09/26

きいち

3
はじめてのアルチュセール。学校やさまざまの制度を、資本主義と国家が個人を搾取するイデオロギーシステムととらえるのはこの人のアイデアだったのだな。それを直接権力とってなんとかしよう、いやなんとかなるものだと考えることができたのがこの時代なんだ、と多少羨ましくなる気もする。思想家アルチュセールへのつながりはまだ自分には感じとることはできない。下巻だ、下巻。2012/09/11

またの名

2
コミュニストであることが恥じらいなく個人の信条として宣言できた時代、そして68年の熱気冷めやらぬ時代を感じさせる書物。以下内容メモ。直接的物理的統一的に作用する国家の抑圧装置に対して、間接的に多様な仕方で働く国家のイデオロギー諸装置は相互に矛盾をきたしながらも国家イデオロギーを現実化する。学校・教会・メディア…等々で教え込まれるノウハウとイデオロギーはそれぞれの社会階級に応じて配分され社会階級を再生産する。上部構造のこうした働きは搾取を主要事項とする経済・下部構造の再生産の条件として機能する。2013/03/22

ハンギ

0
アルチュセールは冒頭に哲学についての一章を割いているように、政治関係の本というよりもかなり本気で体系的に自説を展開していたのだとわかる。書き直した未完の書とは知らなかった。この本は書き直し中の草稿などを含めて一冊の本としてまとめたようだ。題名のように再生産がメインの話題みたいだが、これは福祉をどうするかという問題である。ただ再生産を前提にして政治を変えようという欲望を感じた。国家、法律もまた、その批判に耐えられるものではなく、イデオロギー装置としての実態をあらわにされてしまう。2013/09/23

バーニング

0
アルチュセールを読むのも初めてで、不慣れな分野だと思いつつも面白く読了。フランスの近代史をたどりつつ、AIEと略すことのできる国家のイデオロギー諸装置がどのような機能を果たしてしまっているのか、を叙述していく。そのために法とは何か、装置とは何か、イデオロギーとは何かなどを述べていくが一読しただけなのできれいにのみ込めたとは言えない。個人的には諸力や諸装置など、なぜ複数形を用いつづけるのかは前から気になっていて、この理由が少し明らかになったのが個人的には収穫。マルクス主義についての予備知識はやはりいるなあ。2012/02/19

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