平凡社ライブラリー
エル・アレフ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 261p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582765496
  • NDC分類 963
  • Cコード C0398

内容説明

ダンテ『神曲』に想を得た表題作のほか、「不死の人」「神学者」「神が書き残された言葉」などを含む、ボルヘス中期の短篇集。アルゼンチン性とヨーロッパ性が目眩く博識によって結び合わされ、円環的な時間が織りなす独自の宇宙が読者の眼前に顕れる。最良の訳者が誘う、ボルヘス的迷宮の白眉。『不死の人』新訳。

著者等紹介

ボルヘス,ホルヘ・ルイス[ボルヘス,ホルヘルイス][Borges,Jorge Luis]
1899‐1986。アルゼンチンの首都ブエノスアイレスに生まれる。父方の祖母がイギリス人だったことから英語とスペイン語双方を母語として幼少期を送る。少年時代、家族とともに一時ヨーロッパに移住し、そこでフランス語、ドイツ語、ラテン語を習得する。帰国後、詩人として出発するが、その後、独自の幻想性をたたえた短篇や驚異の記憶力と該博な知識に基づく特異なエッセイを発表する。博識と奇抜な着想をもとに書かれた『伝奇集』(1944)、『エル・アレフ』(1949)、『砂の本』(1975)などの短篇集、あるいは『論議』(1932)、『続・審問』(1952)などのエッセイ集は、20世紀が残した最も重要な文学遺産である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いちろく

43
ダンテの神曲にインスパイアされたという表題作。着想元が着想元なだけに読み進め難いし理解出来ているのか不明だけれど、現実から非現実への反転的な要素は存分に楽しめた。 あらすじの要旨だけを書けば、友人のうんざりする様な詩に付き合わされていた主人公が案内された地下室で宇宙の全てを収めた玉に出会った話 、と思う。諸説あるけれどマジックリアリズムというコトバが一般的でなかった頃の幻想的な作品。20世紀後半のラテンアメリカ文学ブームに影響を与えた作家の一人と言われる点も読めば納得出来る。 2018/08/20

Gotoran

40
ボルヘスの幻想的短編17編を収録。不死の川の水を飲んだため幾世紀も生き続けた男[ホメロス]の回想手記として語られる、時間と永遠が主題の「不死の人」、様々な形で紡ぎ出される迷宮、書物が垣間見られる。ダンテに霊感を得たという表題作、空間と無限がテーマの「アル・エルフ」。その他、“別の人間が結局は一人の人間である”という「神学者」、「戦士と拉致された女の物語」・・・。難解ではあるが、興味深く、好奇心が擽られる。また、巻末の訳者解説で著者の詳細が理解できる。2014/11/14

拓也 ◆mOrYeBoQbw

33
幻想短編集。ボルヘスの短編集では『伝奇集』の次に発表された作品で、全体としては『伝奇集』よりも解かり易い作品が多い印象を受けます。ですが、その点で言うと冒頭に置かれた短篇『不死の人』がちょっと曲者。ボルヘス作品でも極めて複雑で難解な一篇で、物語の本筋を(逐語訳という前置きで)引用した著者が、後半に否定~修正を行うというものになってます。難しいと思ったら『不死の人』を飛ばして読み始めるのも一つw、私の一押しは五頁ほどの短篇『アステリオーンの家』です(・ω・)ノシ2016/05/27

kasim

32
再読。大きな皿の中央に盛られた高級料理。皿の縁にはケルトで、インディオで、クレタで、アラブで、カバラで永遠を表す模様がソースで描かれている。少量だがとても濃厚なため満足感たっぷり。それが私のボルヘスの印象。ボルヘスのテクストこそエル・アレフでは、という翻訳者の言葉に納得する。短編同士が連動するところも好きで、今回は「たとえ遠くからでもその虎を見たものは(…)死ぬまでその虎のことを考え続けて破滅する」「ザーヒル」とジャガーの柄に秘められた全能の呪文を描く「神の書き残された言葉」の虎つながりが心に残った。2019/07/07

拓也 ◆mOrYeBoQbw

20
『戸口の男』を再読。ドスやん『悪霊』、カフカ『掟の前で』『流刑地にて』と対比して読める作品で、〈掟の門〉、(『エル・アレフ』全般に言えますが)〈無神論〉の系譜の話ですね。ボルヘスらしい点はドスやんの”神の不在”よりももっとドライな”神のパラドックス”を弄繰り回す論法が多いので、その点は読み易いと思いますね。『戸口の男』は短篇としても大好きな作品の一つで、物語としてのキレの良さもなかなかだと思いますねー(・ω・)ノシ2018/05/11

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