内容説明
世界に冠たる超大国アメリカほど無知と錯覚と誤解に覆われた国はない。せいぜい知るのは第二次大戦後の、しかも細切れのアメリカではないか。親米派のためでもなく、反米派のためでもなく、「知米派」をこそ増やしたい。アメリカ史の泰斗がその願いを込めてつぶさに検証した五百年の光と影。
目次
第1章 光と影の大国が産ぶ声をあげたとき―有史前から初代大統領の就任(一七八九年)まで
第2章 欲望と利権の渦巻くなかで―南北戦争の終結(一八六五年)まで
第3章 大国への道序曲―第一次世界大戦の終結(一九一八年)まで
第4章 覇権と驕りの頂点に向かって―日本への原爆投下(一九四五年)まで
第5章 歴史は繰り返された―ニクソン大統領の訪中・訪ソ(一九七二年)まで
第6章 「強いアメリカ」が叫ばれた果てに―米ソ首脳による冷戦終結宣言(一九八九年)まで
第7章 アメリカは衰退するか―イラク戦争(二〇〇四年)まで
著者等紹介
猿谷要[サルヤカナメ]
1923年、東京都生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業、同大学院修了。日本大学教授、ハーバード、ハワイ、コロンビアなどの各大学客員研究員を経て、東京女子大学教授。現在、同大学名誉教授。専攻アメリカ史
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感想・レビュー
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masabi
7
【概要】2004年までのアメリカの政治と社会を解説する。【感想】奴隷制を巡る南北戦争後、南部では差別を合法化され、その流れで戦後に公民権運動に繋がった。現代ではBLMと、他にもこれまで解決されなかった問題が現代で噴出している。2022/08/30
浦井
7
やや古いが大変読みやすい。大義名分に弱い(「アラモ(パールハーバー)を忘れるな」、「明白な天命」、大義なきベトナム戦争帰還兵の心理的ショック)。大きな変化でも歴史は繰り返している(民主→共和→民主…、小さな政府→大きな政府→…)。歴史から今のアメリカの国民性、考え方、トラウマが見えてきた。アメリカ史上最初の女性長官パーキンズ、ウォーターゲート事件に興味が沸いた。歴史を知るためにも政治、経済、思想の知識がいるし逆もそうだな。2016/06/03
j
3
ざっくりわかりやすく読みやすいアメリカ史。2018/03/23
Tadashi Totsuka
2
この本は、アメリカのアメリカ大陸略奪の歴史と銃による暗殺、二度の戦争により巨大国家となったアメリカが、イラクやその他の国に新たな戦争を仕掛け世界でいちばん嫌われる国になっていく醜い歴史を表に出して書かれているように思いますがいかがでしょうか?2014/09/17
馬咲
1
ブッシュJr.時代までのアメリカ史をざっくり辿った一冊だが、現在の視点から見ると、建国以来アメリカが抱え続けてきた(そして今後も抱え続けるであろう)数々の問題群の集大成的爆発がトランプ大統領誕生だったのだと分かる。2022/05/26