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内容説明
ヒトラー政権下のベルリン。ナチ軍人の妻で四児の母親であったリリー・ヴスト(エメー)は一人の女性と運命的に出会い、激しい恋に落ちた。相手はフェリーツェ・シュラーゲンハイム(ジャガー)。迫害を逃れて潜伏中のユダヤ人であったが、リリーはそれを知らなかった。「フェリーツェ、何だか変よ」やがて恋人の行動に疑念を抱いたリリーが問いつめる。長い沈黙のあと、フェリーツェが答えた。「リリー、私はユダヤ人なのよ」…二人の交わしたラブレターや日記、生き残ったリリーをはじめとする証言など、豊富な資料をもとに、著者はこのたぐい稀な愛の物語を生き生きと再現する。魅力的な登場人物たちとドラマティックな展開で、半世紀という時を超えて読者の心をとらえ離さない、ノンフィクションの傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
2
刊行当時、ドイツでは話題になったという。第二次大戦下のドイツの首都ベルリンで「潜水艦」と呼ばれた、隠れて生きるユダヤ人達がいた。そんな中の一人の女性が、あるドイツ人の家庭に入り込み、そこの妻と同性愛の関係になり、大戦末期まで隠れ住んでいたという事実を、関係者の証言も交えて構成した。隠れ住むユダヤ人達のネットワークや、逆にゲシュタポの手先となって、同胞を狩りだすユダヤ人女性の存在、そしてベルリンのユダヤ人管理組織など、余り知られない事柄について、日々死の恐怖と直面しながら暮らす証言が生々しい。2019/01/09