出版社内容情報
芥川賞って本当にそんなにすごいの?第1回から最新第156回まで、全受賞作164作に偏差値をつける、掟破りな文学批評。
内容説明
芥川賞はまことに奇妙な文学賞である。『火花』は?『太陽の季節』は?最高偏差値は?第1回から最新回まで164作をランク付け!掟破りの日本文学史。
目次
1935~1949年
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
著者等紹介
小谷野敦[コヤノアツシ]
1962年(昭和37)茨城県生まれ、埼玉県育ち。東京大学文学部英文科卒業、同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士(比較文学)。大阪大学言語文化部助教授、国際日本文化研究センター客員助教授などを経て、文筆業。2002年、『聖母のいない国』でサントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
133
先日読んだ『芥川賞物語 Since 1935』に続いて芥川賞関連2作目です。芥川賞作品を著者の独断と偏見でかなり辛辣にメッタ斬りしており、ある意味爽快です。本書での最低偏差値(25)の作品は、割と最近の9年前にも関わらず、作品名も作家名も全く記憶がありません。最高偏差値は72の『コンビニ人間』でした。ここまで高評価なのも不思議な気もしますが・・・2017/04/12
Shintaro
80
芥川賞候補になりながら2度も落選した小谷野敦が、怨嗟と僻みでなまくらになった刀で受賞作を一刀両断にしていく文芸批評。くだらない文壇のネタをよく知っているなと呆れながら感心する。小谷野曰く、芥川賞はつまらないのが伝統。また作家の代表作を外し、どうでもいい作品に与えると言う。芥川賞作家以下の小谷野が芥川賞を否定してゆく。でも『しんせかい』や『死んでいないもの』がつまらなく、『コンビニ人間』が面白いのは僕と同じ。何物でもない人間が文学を批評するのは、文壇のためになるらしい。では僕も言おう。本作はつまらなかった。2017/06/25
さよならキダ・タロー・寺
69
面白かった。歴代の芥川賞受賞作を読了し偏差値で査定。ただ、低い偏差値であっても、その小説への評価なので、作者自体の評価とは違う。著者が好きな唐十郎の受賞作の偏差値は低く、西村賢太の他の作品は巻末の『では名作はどこに』で高評価である。福田和也の『作家の値打ち』も面白かったが、こういうのは評者の価値観に関心や信頼があるので成立するのであり、どうという事のない者が作品をランク付けしてもこの面白さは無いのである(当たり前だが)。私は広島人なので吉目木晴彦が気になった。作品が高評価で現在広島の女子大の教授なのだ。2017/04/03
harass
65
1935年の第一回から2016年までの芥川賞受賞作品や重要候補作を各回ごとに紹介し著者が論評し点数化していく。同時期の直木賞などの別の文学賞作品や話題作なども。文壇ゴシップやトリビアに詳しい。特に芥川賞の場合、なんでほかにいいのがあるのにこの作品を?とか、実際に読んでみて、意味不明だったり良さがわからないことなどが多く、個人的にあまり信頼してない賞だ。著者は「退屈」であることがこの賞の作品の性質だという。独断でぶった切るスタイルの論評だが、いろいろな作家たちの知識がまとめてあり資料や読み物として楽しめる。2017/04/19
それいゆ
64
最高値は「コンビニ人間(村田紗耶香)」の72。騙されたと思って実際に読んでみましたが、こんな面白い芥川賞作品は初めてでした。ということは小谷野敦さんの評価は信頼できるということです。螢川(宮本輝)58、春の庭(柴崎友香)52、この2作品もそこそこの評価なので読んでみようと思います。時が滲む朝(楊逸)25が最低評価でしたが、25とはひどすぎます。日本語になっていないそうで、他の賞では間違いなく1次審査ではねられる作品だそうです。2017/03/30