内容説明
「後美術」とは美術や音楽といった既成のジャンルの破壊を行うことで、ジャンルが産み落とされる前の起源の混沌から、新しい芸術の批評を探り当てる試み。例えば、ジョン・レノンとオノヨーコの活動を同じ「後美術」と呼ぶこと。ポピュラー音楽と前衛美術の枠組みが外されて、二人のアーティストとなったジョンとヨーコによる「音楽と美術の結婚」―。このジャンルを溶解させる婚姻から授かる創造の地平が「後美術」である。
目次
音楽と美術の結婚
新スロヴェニア芸術と動物園TV
スローターハウスの聖母たち
残虐行為への展覧会
次は溶解だ
地獄と髑髏
「歌う彫刻」と「人間=機械」
著者等紹介
椹木野衣[サワラギノイ]
美術批評家。1962年秩父市生まれ。現在、多摩美術大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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🍕
3
美術とコンテンツ批評の境域を撹乱しながらも単なるカルチャー論に溶解しない一貫性があったのがよかった2020/10/26
yu-onore
1
Perfumeを媒介にクラフトワークとギルバート&ジョージを繋いでいくのめちゃくちゃ面白いな。恐らくその延長にいる存在として、電気やケミカル・ブラザーズを想定できそう。 てか、むしろ電気の、特に初期に露骨な悪趣味さこそがまさに、人間機械を打ち出したクラフトワーク的テクノとギルバート&ジョージの露悪的パンク精神をこめた「彫刻」作品の折衷だといえるのではないだろうか。2020/08/28
あんすこむたん
1
現在のアートを音楽や写真から様々な分野を網羅しながらも独特な目線で語られる。J・G・バラードなどアートというイメージがない人物(SF作家としては有名でも)までもきちんと入れた上でまとめられていて、知識が増えた。2020/09/08
保山ひャン
1
美術ではなく、ARTでもない、「アート」。旧来美術の範疇で扱われてこなかった音楽やパフォーマンス、はたまた写真を題材に、そこで起こっているジャンルの破壊を考える。オノ・ヨーコ、ライバッハ、U2、メイプルソープ、スロッビング・グリッスル、バラード、ノーウェイブ、マルコム・マクラーレン、ウッドマン、リディア・ランチ、ヴォイナロヴィッチ、ソニック・ユース、マンソンファミリー、クラフトワークなどなど。ここで取り上げられている後美術を好きでたどってきたんだな、と自分の嗜好もあぶりだされた。2016/08/11
三県・境三
0
現代アートなどと使われる「アート」という言葉とポピュラーミュージックとかを演奏する人やバンドマンなどを指すアーティストが行なう「アート」という言葉とを接続するという歴史的文脈の再構築を目指した本だと思いました。村上隆なんかが行なってきたのとは別の仕方で。2016/01/23