内容説明
心理学において言語を研究対象にすることと言語を研究道具として用いるあいだには大きな溝がある。前者は、言語・認知心理学を中心に研究が行われているが、後者は余り検討されていないのが実情である。本書は、この言語や会話をデータとして利用する方法について、各分野での利用状況をふまえ、その全体をまとめ上げた初の成書である。内観報告法、プロトコル分析について詳しく解説した後、臨床研究を視野に入れた会話データの分析、手法としてのインタビュー等、関連分野の学生を念頭に丁寧に説明する。テキストとしてばかりでなく、研究者にとっても有用かつ示唆に富む興味深い書である。
目次
第1章 実験後の被験者からの内省報告
第2章 実験心理学の始まりを支えた内観報告法
第3章 プロトコル分析
第4章 言語心理学で扱われる言語データ
第5章 会話データの分析:臨床研究を視野に入れて
第6章 転記の問題
第7章 手法としてのインタビュー
第8章 事例・症例研究でのエピソード採取