出版社内容情報
のどかな山の上のロジック学園に、天馬空を行く入門生たちがやってきた。数学、哲学、情報科学など、さまざまなバックグランドを持った入門生らは、強烈な個性を炸裂させながら、たった2週間の授業でチューターのレオも舌を巻くレベルに成長していく。いよいよ最終日の演習が始まろうとしたとき、衝撃の出来事が…。小説仕立ての本書は、読者も入門生の一員となって読み進めることができ、「ゲーデルの不完全性定理」などについての深い理解へと導いてくれる。
内容説明
さまざまなバックグラウンドを持つ個性豊かな入門生たちがロジックの理解を目指す物語。いよいよ最終日の演習が始まろうとしたとき、衝撃の出来事が…。『数学セミナー』好評連載、待望の書籍化!!
目次
授業1週目(等式のロジック;等式理論とブール代数;命題論理;1階論理;計算のロジック;特別講義 超準解析)
授業2週目(第一不完全性定理;第二不完全性定理;不完全性定理とさまざまな論理;ランダム性と不完全性定理;ゲーデル以降の展開;五年目のペリパトス)
著者等紹介
田中一之[タナカカズユキ]
東京工業大学理学部卒業。カリフォルニア大学バークレー校Ph.D.。現在、東北大学大学院理学研究科数学専攻教授
バラマツヒトミ[バラマツヒトミ]
漫画家、イラストレーター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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村崎未夢
1
ロジックがテーマのライトノベル。個性豊かな登場人物たちの会話を楽しく追いかけているうちにいつのまにか不完全性定理が証明されている本である! …というのは嘘ではないが、ラノベ感覚で読めるのは既にロジックに相当なじんでいる人だけだろう。ハッキリ言って超濃密でレベルが高い。等式理論、命題論理、述語論理と、ハイテンポで駆け抜けていく。正直、初学者には勧められない。とはいえ、歴史的なこぼれ話や証明のキモチの説明などは良いし、キャラクターたちの会話は楽しいので、既にロジックをマスターした人に勧めたい一冊である。2020/04/01
hidehi
0
見た目とはだいぶ違って内容の濃い本。軽く読み飛ばせると思って読むとえらい目にあいます。 専門書以外の数理論理学関係の本の多くは、入り口としての基礎の解説か不完全性定理の概略かくらいで、現役で発展途上の学問という理解を持ちにくい。この本では学生たちとの対話という形のおかげで、関連した話題・エピソードへの脱線が自由にでき、トピックの様々な側面を理解できる。不完全性定理も紹介してそれで終わりではなく、その後の応用や発展にふれている。こんなふうに数理論理学への入門をガイドしてくれる本はほとんどないので貴重。2020/12/08